2001年の発売以来160億本以上売った「氷結」

まずは現在の状況をキリンビールに聞いてみた。

「インテージの調査では、RTD市場全体では前年比106%と依然として好調です。その中で『キリン 氷結』は2001年の発売以来、累計で160億本(250ml換算)を突破しました。特に『キリン 氷結 無糖レモン』は2020年10月の発売以来、累計4億本を超え、今年1~5月は前年比160%と絶好調です」

「キリン 氷結」のブランドマネジャーである原英嗣えいじさん(キリンビール マーケティング部 RTDカテゴリー戦略担当 主務)はこう説明する。原さんはかつて、ビール類の「キリン のどごし〈生〉」のブランドリーダーも務め、ビール類における消費者意識も見てきた。

原英嗣さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
「氷結」のブランドマネジャー、原英嗣さん。撮影の時のみマスクを外しています。

現在担当するRTDでは好調の波に乗り、積極的な宣伝も仕掛ける。

「5月16日、メディア向けに“完璧な新キリンチューハイ”のお披露目発表会を行いました。『キリン 氷結 シチリア産レモン』のリニューアルでしたが、事前に商品名を明かさずに行った、消費者の方への試飲アンケートでは、『完璧なチューハイか』という質問に97%の方が『そう感じる』(『とても』『やや』含む)とご回答されました」

「氷結」のイメージ画像
画像提供=キリンビール

今回は、それ以前からティーザー広告を投入し、全国で100万本のサンプリングを実施。世間の期待感を煽ってきた。

最近の同社CMは、起用タレントに自社商品を「おいしい」と言わせる手法も目立つが、社内のムードが前向きでないと、こうした手法はとりにくい。

健康意識の高まりにより選ばれた味

2020年春から続く、コロナ禍でのブランドの動きについても聞いてみた。

「氷結に関しては、コロナ禍当初から総じて前年比プラスで推移していました。外出自粛で外での飲酒ができず、家飲みにシフトした恩恵を受けたのです。その勢いに乗ったのが『無糖レモン』で、甘くない爽快なおいしさをご支持いただきました」

在宅勤務も増えて自宅にいる時間が長くなった。在宅時における消費者の行動は、氷結の場合どうなっているのか。

「会社で執務する時に比べて、在宅は飲み始める時間も早くなりがちです。そうなるとお酒好きな方は本数も増えるので、アルコール度数の低いお酒を選んでいます。また運動不足になる人も増え、自分の健康を気づかって無糖商品を選ぶ傾向にあります」

無糖を好むのは清涼飲料水でも見られる傾向だ。消費者の健康意識が在宅時間増でより進んでいったのだろう。