法律的に矛盾を抱える天皇制

ところで、憲法の1条から8条までは天皇の話ですが、この部分で例えば2条には、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」とあります。つまり、天皇というお仕事は世襲であるといっている。

佐藤直樹『「世間教」と日本人の深層意識』(さくら舎)
佐藤直樹『「世間教」と日本人の深層意識』(さくら舎)

ところが、同じ憲法にある「職業選択の自由」を規定する22条は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」とあります。

そうすると天皇は自由に自分の職業を選べないのだから、天皇の世襲制を規定する2条は、22条の「職業選択の自由」に反しないのか。

これは日本の憲法の中に、世襲制という本来は「世間のルール」であるものと、基本的人権としての「職業選択の自由」という「法のルール」が、矛盾をかかえながら混在していることを意味していると思います。

なぜ天皇だけそんな特別扱いをするのか。天皇は「世間のルール」である「身分制」の頂点に立つ、そういう特殊な存在だからです。日本の天皇制というものは、非常に不思議な制度です。そこのところが、他の国の国王とは決定的に違う点です。

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