「やばみ」「うれしみ」の「み」はどこから来たのか

日本語はおおらかで懐が深い言語なのかもしれない……国立国語研究所編『日本語の大疑問』(幻冬舎新書)を読んで、改めてそう感じました。国立国語研究所あてに一般の人から寄せられた日本語に関する疑問に対し、専門家が丁寧に答えている本です。

国立国語研究所編『日本語の大疑問』(幻冬舎新書)
国立国語研究所編『日本語の大疑問』(幻冬舎新書)

第一章の最近の日本語についての質問には「若者ことばの『やばみ』や『うれしみ』の『み』はどこから来ているものですか」というものがありました。

従来用法では「み」がつかないはずの「やばい」「うれしい」といった形容詞に「み」を付けた“新用法”。同書によれば、わざと逸脱的表現を使うことで冗談めかした「ネタ」として感情や欲求を表現できる、とのことです。

「うれしさ」より「うれしみ」のほうがより具体的な感覚を表せるそうで、SNSで使うことで、共感度が高まります。このまま定着しそうな言葉です。

「『ちびまるこちゃん』のおじいちゃんのような話し方をする人は本当にいるんでしょうか」という、言われてみると気になる質問もありました。

確かに「◯◯じゃ」という言葉遣いは筆者の祖父の発言でも聞いたことがありません。実際にそういうタイプの人がそのように話すわけではないのに、キャラづけされた話し方が日本語にはあり、「役割語」と呼ばれるそうです。日本人が無意識のうちにイメージを共有し、後世に伝え続けているのでしょうか。