4%ルールはあくまで「NYダウ」の話

なお、やはりアメリカの代表的な株価指標であるNYダウについて同じ期間で、為替(ドル円)の影響を考慮に入れて円建てベースで調べると、次のようになります。

2010年の年初~2019年末までの10年間 12.36%
2000年の年初~2019年末までの20年間 5.05%
1990年の年初~2019年末までの30年間 7.01%
1980年の年初~2019年末までの40年間 7.02%

このようにアメリカ(NYダウ)については、2000年の年初がITバブルの高値からの換算なので5.05%と少し低くなっていますが、30年間と40年間では7%を維持していますし、最近10年間は12.36%で、高い値になっています。やはりアメリカで「4%ルール」が主張されるのは、それなりの結果が伴っているからですね。

急落するチャートを見て頭を抱える男性
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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日本の株式市場はアメリカより30年成熟が遅れている

さて、このようなわけですから、日米では様子が全然違います。結果論でしかありませんが、過去40年間においては、アメリカ株に投資しておけばよかったということになります。そのような「まさに(悪い意味での)結果論」を言ってもしかたがありません。しかしながら、ここで私は希望的な考え方をしたいと思います。

「日本の株式市場は、アメリカと比べると25年〜30年は近代化が遅れている」ということを耳にします。「日本が大好き」である私のナショナリズムからしますと、屈辱的なことではありますが、私の肌感覚でも悔しいことながら、確かにそれは言えているなぁという印象があります。少なくとも、1989年末までのバブル相場の時は、完全に発展途上国的なナンセンスな株価形成でしたし、株主への配当額も「1株当たり5円」のオンパレードで、配当利回りとかの重要な指標はまったく無視されていました。

配当に代表される株主還元やIR活動やコーポレートガバナンス(企業統治)のことなども、日本では2008年のリーマンショック前までは充分に充実していたとはいえないと思います。私の見るに、株主還元・IR活動・コーポレートガバナンスといったことが企業側からも意識され、整備されてきたのは、ここ10年くらい(2010年以降)ではないかと思います。

ですからやはり、「株式市場の成熟度」という点だけから見れば、アメリカと比べると日本は25年〜30年は遅れている感じです。前にお示しした、過去40年分の日経平均株価の「長期的な成長率の年率の平均値」を見ても、まともな数値が算出されたのは、2010年の年初~2019年末までの10年間(8.35%)だけですね。

このように考えてくると、やはり日本の株式市場は、残念ながら、アメリカと比べて25年〜30年くらい遅れているのでしょうが、このことは光明でもあります。