人口減少はリスクだが、今後は年率7%での成長が期待できる

日本の株式市場は国際化が進展してきており、外国人投資家の比率が増大してきています。ですから2010年以降は、1980年以降のアメリカのように、10年単位の区間で見て、どの期間でも7%の成長をしていく可能性がこれまでよりは高いのではないかと予想(いや、期待?)できます。

このようなわけで、日本の株式市場についても、「今後に期待」といいましょうか、アメリカのようになっていくのでは? ということは、まんざらあり得なくもないとも考えられます。

一方で、「長期的に見ると、日本の株式市場は1980年以降のアメリカのようには成長しない」という説もあり、それにも一理あると思います。長期的に見て、日本の人口が減少するのは明らかですから、生産年齢人口はもとより、(あまり指摘されませんが)消費年齢人口の減少も意味します。

つまり、移民を大量に受け入れるか、生産性が画期的に向上するかの少なくともいずれかが実現しない限り、日本経済のパイは小さくなっていき、GDPの規模も減少していくことになるでしょう。そういったことを長期的に織り込んでいくと、日本の株価は成長しない、という考え方です。

そうであるとしても、私は何も問題はないと思います。

日本経済が成長しなくても運用資産を成長させる方法はある

私が日本の株式市場について、過去30年間における「東証1部上場企業の時価総額」の推移を調べたところ、以下のような事実が見えてきました。

・「1社当たりの時価総額」のボトム(底)は「1500億円前後」で、ピーク(天井)は「3300億円前後」である、ということ。
・日本の株式市場が成長しないとしても、今後も「1社当たりの時価総額」が「1500億円前後」でボトム(底)となり、「3300億円前後」でピーク(天井)になるような上下動を繰り返す可能性があるということ。ただし、ボトム(底)は、ややジリ貧の値になっており、日本経済の長期的な弱体化が見てとれる、ということ(2020年3月末はボトムアップしています)。

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特に重要なのは、後者です。日本経済が成長しなくても、こういった波動にうまく乗ることができれば、運用資産は成長し続けることができるのです。

株式市場に投資さえしておけば、(物価変動調整後で)総じて年率4%の利回りが期待できるなどということは、前提にはできません。しかし、強いて言うならば、「きちんと勉強して、ファイナンシャル・リテラシーのレベルを上げれば、(物価変動調整後で)総じて『年率4%』の利回りが期待できる」ということは、充分に正しいと思います。

ファイナンシャル・リテラシーのレベルを上げて、株式投資による資産形成をライフワークとして身につけた人だけが、「4%ルール」を達成できるのだと思います。もっと言えば「4%よりも多少高いパフォーマンスを実現することすら可能である」と思います。

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