あくまで計算上は「足で稼げ」が正しいことになる

さらに言ってしまえば、ここでは当初のクロージング成功率を50%と見積もりましたが、もしこれが60%だったらどうなるでしょうか。

これを倍にしたクロージング成功率120%というのは、10人のお客さんに案内すると12人のお客さんが買ってくれるということ。どう考えてもあり得ませんよね。

もちろん、あまりにもクロージング率が低く、それをちょっとした努力で伸ばすことができるのなら、話は別です。しかし、あくまで計算上の話で言えば、「訪問数を稼げ」というA課長のほうが正しいことになるのです。

明確な数字で指示するマネージャーが重要になる

斎藤広達『超文系人間のための統計学トレーニング』(PHP研究所)
斎藤広達『超文系人間のための統計学トレーニング』(PHP研究所)

ただ、そこで問われるのは「伝え方」です。「とにかく営業は足で稼げ!」と命令するのと、「自社の営業ファネルはこうなっている。だから、アプローチ数を倍にしたい」と伝えるのとでは、営業パーソンの納得感が違います。また今は、デジタルを活用して、アプローチ数を倍にするなど、いろいろな打ち手が考えられます。足ではなく、頭とデジタルツールで数を稼ぐ方法もあるのです。

営業というのは大変な仕事です。断られることも多く、ストレスが溜まります。成果を上げるためには準備が必要ですし、その準備も空振りに終わることが多々あります。

そんなとき、明確な数字をもとに「これだけやれば、きっとできる」と言ってくれるマネージャーの存在は、きっと希望を与えてくれるはずです。

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