性別や年齢にとらわれない指揮命令系統のメリット

このように、階級が明確にあることにより、性別や年齢といった個人の属性にかかわらず統制をとることができる点を、女性自衛官は評価しているのです。階級には役割や責任が紐づいており、それを周囲が認めて上司の判断に従う、という明確な指揮命令の系統がメリットとしてとらえられているのは重要な発見でした。階級という客観的に認められた立場が、男女差が生じることの防波堤になっているといえるでしょう。

「階級があるからこそ、任せてもらえる部分もたくさんあるし。そしてそれがやりがいにつながる。階級に対して敬礼してくれているというのは、その人の持っている責任に対して敬礼してくれていると思うんですよね。だから、そうされると身も引き締まるし、頑張らなくちゃと思うし。幹部としてしかるべき階級に身を置かせてもらえるってことは誇らしいですよね」

また、上司としての自分が、部下の生活にまでも責任を持っていることに対する自負心も感じられました。

「階級」は上司と部下の信頼関係の上に成り立っている

「階級社会であることはある意味すごい明白、明確で、わかりやすいと思います。命令には従わなくてはなりませんが、上司と部下の間の信頼関係の上に成り立っています。上司は自分の部下を上手く使う義務がある。馬車馬のように働かせるのではなく、プライベートと仕事を両立できるようにした上で、部下の人生を充実させるようにする義務があるのですね。

上野友子、武石恵美子『女性自衛官』(光文社新書)
上野友子、武石恵美子『女性自衛官』(光文社新書)

部下は、上司がそういうことをきちんと考えてくれているという信頼があるから服従するし、上司がしかるべき階級になっているということは、部下のことをきちんと考える能力があって、その考えに基づいて、部下に対して言う権限があることも理解していると思います。

自衛官はこのような考えを前提として、階級に対する尊敬を持っているので、階級社会というのは、敬意と上司のマネジメント能力に対する信頼で成り立っていると思います」

「階級」というものが、上下関係の意味合いが強い指揮命令のためだけでなく、チームワークや信頼関係の醸成、さらには部下の私生活も視野に入れた関係構築まで含めたものとして存在しているのかもしれません。

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