軽自動車は「小さく、軽く、省資源」だ

軽自動車の規格は昭和24年(1949年)から始まった。全長2.8m、全幅1m、全高2mの小さなボディに、4サイクルで150cc、2サイクルで100ccと二輪車並の小排気量エンジンが組み合わされた。

その後、軽自動車規格は幾度となく変更を受ける。大きなところでは昭和30年(1955年)に4/2サイクルとも排気量が360ccに統一され、昭和51年(1976年)には550ccへ拡大された。そして平成2年(1990年)には現在と同じ660ccに。ボディサイズにも4度見直しが入り、現在は平成10年(1998年)に施行された全長3.4m、全幅1.48m、全高2mが適用されている。

クルマ社会における電動化の波は日ごとに勢いを増す。そうしたなか、この先のクルマ社会に対して軽自動車が果たす役割はどこにあるのだろうか。

たしかに、燃費数値に優れるHV(ハイブリッドカー)が普及したことで温室効果ガスのひとつであるCO2(二酸化炭素)の排出量は激減した。燃費数値が2倍になれば走行時のCO2排出量は半分になるからだ。

この先は電動化のうちBEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)の販売台数を増やし、「温室効果ガスを一層削減していこう」、そんな声が各国から聞こえてくる。ただ残念ながら、小さく、軽く、省資源の軽自動車を強く推す声はない。

新型アルト ラゲッジルーム
筆者撮影
4名乗車時のラゲッジルーム。後席を前倒しすると1225mmまでの長尺物も収納可能だ

トヨタとの資本提携には環境対策の目的も含まれている

温室効果ガス削減への取り組みは、2022年初頭からカーボンニュートラル化へと言い換えられた。しかし、走行時のCO2削減だけではカーボンニュートラル化は難しい。

トヨタ自動車では、21世紀初頭から「LCA(ライフサイクルアセスメント)」の概念を採り入れ、CO2の削減に取り組んでいる。車両を造るための資源採取から製造、走行、そして役割を終えた後の廃棄に至るまでに排出されるCO2を総合的に減らすという大きな枠組みだ。

さらにトヨタは、2050年の世界市場における新車平均走行時CO2排出量の90%削減(2010年比)を目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」を2015年に発表、最終的には車両の電動化と再生可能エネルギーによってCO2ゼロを目指すという。

そのトヨタとスズキは2019年8月に資本提携に関する合意書を締結している。提携の目的は、トヨタが持つ強みである電動化技術とスズキが持つ強みである小型車技術を持ち寄り商品補完を進め、商品の共同開発や生産領域での協業等に取り組むことにある。当然ながら、ここにはLCA換算での環境対策も含まれる。