新型コロナの感染拡大で、学校などでは休校や学級閉鎖が相次いでいる。医師の大和田潔氏は「40代以下の致死率は0%台なのに、1人でも感染者が出れば閉鎖、という対応はおかしい。過剰反応を招いたコロナ専門家の責任は大きい」という――。
校庭を走り出す小学生たちの後ろ姿
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子供たちの不利益に無頓着な日本のコロナ対策

新型コロナウイルスの対策で、31都道府県に適用されていた「まん延防止等重点措置」は東京や大阪、愛知など18都道府県で延長(2022年3月21日まで)することが決まりました。ため息をつかれた方も多いでしょう。

一方、ロシアのウクライナ侵攻激化の報道が激増で、前のめりだったコロナ報道は極端に減っていきました。

福岡などの13県では3月6日に解除されましたが、大都市圏を中心に依然としてコロナへの警戒態勢がとられています。病床使用率の推移や医療提供体制の負荷軽減が主な理由です。オミクロン株は、確かにこれまで以上の陽性者数の拡大は観察されました(図表1)。

図表1 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(報告日別新規陽性者数)
出典=厚生労働省

長期自粛の結果、私たちの社会はどうなったでしょうか。人流抑制や飲食店の休業や時短営業の要請。経済の冷え込みで多くの人たちの仕事や暮らしは傷つけられ続けています。さらに私が、今回最も深刻だと感じているのは、子供たちへの影響です。

各地で子供のコロナ陽性者が確認され、その結果として起きたことは「学級閉鎖」や「学校閉鎖」の乱発でした。原因はどこにあるのでしょうか。

文部科学省が全国の教育委員会などに通知した「ガイドライン」では、学級内で2~3人の感染者が確認された場合は5~7日程度を目安に学級閉鎖することなどを示しました。感染者が1人確認されただけでも、濃厚接触者が2~3人いる場合も学級閉鎖を実施する例として挙げています(注1)