25歳で脳腫瘍になった慶應大アメフト部出身の会社員の生き様

実る人=リフレーミングで景色を変える
枯れる人=思考、感情、言葉、行動をマネジメントできない

私が講演や研修の最後にお伝えしているのが「リフレーミング」です。

元々は心理療法などで活用されていますが、まさにフレームを再設定(リ・フレーム)するイメージです。ものの見方や視点を変える重要なスキルです。

特に50歳を過ぎたら「リフレーミング」で平安な心を手にいれることをオススメします。本来、我々が自分で変えられるものは思考、感情、言葉、行動の4つです。

ある出来事が起これば、思考が働き、湧き上がる感情に左右され、使う言葉が口から飛び出し、それに伴った行動を起こすことになります。これを、認知を変え、意味づけを変えることで、思考と感情から整えてマネジメントするのです。

私自身も、先日こんなことがありました。

ある日、交通安全祈願で有名なお寺に参拝した帰り道のことです。自分の車を車庫に入れていると、普段はなにもない場所に誰かが看板を置いていて、気づかずに車をこすってしまったのです。

私の思考と感情は、

「なんてこと! 交通安全の祈願をしたのにすぐに車を傷つけるなんて……」
「誰がこんなところに看板を置いたんだ!」

と怒りの感情がわいて荒れ出します。

ところが、ここでリフレーミングを意識し、活用すると、

「交通安全祈願のお陰で最小限のトラブルで済んだのかもしれない」
「ここに看板を置いた人も悪気はないし、自分も不注意だったよ」

というように自分の心の中で整えられるのです。

「これで済んで良かった、良かった」と言葉にしてみると、夜になって風呂に入る頃にはすっかり忘れていました。日々、こんなリフレーミングの繰り返しです。

また、リフレーミングは、人に希望を与えることもあります。私が心から敬服しているある男性は、アメリカンフットボールの元選手で、慶應義塾大学理工学部を卒業後は社会人として活躍していました。

アメリカンフットボール
写真=iStock.com/33ft
※写真はイメージです

ところが25歳の時、脳腫瘍を発症。その後、治療して一度は完治し、しばらくは仕事を続けていたものの、27歳の冬の日、再発による痛みで転倒し、自分一人で救急車を呼んで入院しました。その日から半身不随となってしまいます。

しかし、そんな中でも彼は、

「失ったものより、今あるものを大切に」
「自分は眼も見える、手も動く」

と自分を励まし、また、年が明けた正月には、

「越えられない試練はない」
「今年を最も輝く年に!」と言っていたそうです。

彼は残念ながらその年の3月に家族に囲まれて亡くなりました。

しかし、常人ならば絶望に押しつぶされてしまう状況でも、一筋の光を見つめながら希望の中で強く生きたのです。

こんな素敵な青年が早世してしまった深い悲しみがこみあげてきます。人間はこんなに希望を見つけられる存在なのかと、ただただ畏敬の念を覚えるのみです。

リフレーミングが世界の景色を変えます。

「人はみな心のほどの世を渡る」といいます。すべての思考、感情、言葉、行動は自分が決める。50代は日々リフレーミング三昧で実をならせましょう。