室温を上げるとタイピング文字数が150%増加

まずは、オフィスの「室温」と業務効率との関連について。実際にオフィスの室温が暑すぎる、または寒すぎるといったことで業務に集中できない経験をしている方も多いと思います。これを数値として示した研究があります。

2005年にアメリカのコーネル大学で行われた研究では、室温を20度から25度に上げたところ、タイピングミスが44%も減少し、タイピング文字数は150%の増加が見られたという結果がでています(※1)。さらに日本建築学会の研究では、25度から1度上げるごとに作業効率が2%低下した、との結果が出ています(※2)

(※1)Susan S.Lang: Study links warm offices to fewer typing errors and higher productivity. CORNELL CHRONICLE. 2004 Oct 19.
(※2)多和田友美、伊香賀俊治ほか「オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響」日本建築学会環境系論文集 2010年 75巻 648号 p.213-219

次に、「湿度」と業務効率との関連について見ていきましょう。早稲田大学理工学総合研究センターによる研究では、湿度が35%を下回ると人は乾燥による不快を感じるとされています(※3)

(※3)堤仁美、田辺新一「低湿度環境が在室者の快適性・知的生産性に及ぼす影響に関する研究」早稲田大学

別の調査では、低湿度によって体の不調を自覚する割合が高くなることも示されています。冬のオフィスで調査を実施したところ、手足の冷えや皮膚の乾燥・痒み、風邪症状(鼻水、鼻詰まり、咳、くしゃみ)について、夏場と比較して自覚症状を訴える割合が有意に高い結果となったそうです(※4)

(※4)齊藤宏之「冬季オフィス環境における温湿度の実態と健康影響」独立行政法人労働安全衛生総合研究所

手袋をしてノートパソコンを使用する女性の手元
写真=iStock.com/Valeriy_G
※写真はイメージです

乾燥した環境では、集中力が維持しにくい

このような状態で作業を続けるとどうなるでしょうか。集中力の低下やミスが増加することは想像に難くないかと思います。これについては次の研究で顕著に示されています。

国内のある施設で働く介護職員を調査対象とし、同施設内に乾燥エリア(湿度40%未満)と湿潤エリア(湿度40%以上)が存在する環境で、それぞれのエリアにて働く職員に自覚症状の有無を聞き取ったものです。

乾燥エリアで働く職員は湿潤エリアと比べて「することに間違いが多い」「仕事中に眠気に襲われる」「やる気がない」等を訴える率が高くなったという結果となりました。また、乾燥エリアではまばたきの回数が増えたといいます。人は作業に集中している時にはまばたきの回数が減ると言われています。そのため、乾燥エリアでの作業では乾燥から目を守るためにまばたき回数が多くなり、視覚情報が遮られることによって集中力を維持しにくくなった可能性があると考察されています(※5)

(※5)小野万里、伊香賀俊治「介護施設の温熱環境と要介護高齢者及び介護職員の健康状態の関連」空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集 第7巻 空気質編 2019年

ここまで、温度・湿度と業務効率との関連を評価・検討する研究をいくつか紹介しました。以上から、生産性が最も上がる温度・湿度としておおむね「温度:25度・湿度:50%」と言えると考えられます。