決算書は最短3分で読むことができる

もちろん、決算書を最初から最後まですべて読み通す必要はありません。ほんの少しの分析を行うことでも、好業績で成長が続きそうな成長株候補に出合えるチャンスは増えます。

決算書と言うと「難しい用語がたくさん出ていて分からない」「数字の羅列ばかりで難しい」「どこを見たらいいのか分からない」という読者の方も多いと思いますが、慣れてくれば1銘柄3分もあれば成長株候補か判断できるようになるでしょう。

業績変化の重要なトリガーとなる決算短信は年4回、四半期(3カ月)ごとに発表されます。ここでは成長株投資ならではの決算短信の見方を「決算書速読10カ条」として解説していきます。

第1条「売上と利益は増えたか」

全10カ条のうち、最も注目すべきは第1条です。最初に売上と利益の伸びで成長株候補かどうか判断します。

図表1は、5年間で79倍株に成長した半導体メーカー「レーザーテック」(6920)が2021年4月30日に発表した2021年6月期第3四半期の決算短信です。図表1の中に第1条~第5条の項目がどこに示されているかを示しました。

【図表1】レーザーテック・2021年6月期第3四半期決算・注目すべき5つのポイント
【図表1】レーザーテック・2021年6月期第3四半期決算・注目すべき5つのポイント

成長株にとって最も重要なポイントは売上と利益になりますが、その中でも売上と利益の「伸び」、利益は営業利益や純利益ではなく、経常利益(IFRSや米国基準では税引前利益)の伸びを確認します(図表1-①)。

経常利益には、その年だけ発生した特別利益や特別損失が含まれていません。あくまで、その会社の通常の企業活動で得られる利益であるため、評価に最適というのがその理由です。

また、単純に伸び率の高い銘柄を選べばよいかと言うとそうではありません。増収率・増益率が高い銘柄ほど市場期待は高く、株価はすでに上昇しています。割安に買える銘柄が少ないということです。テンバガー(株価が10倍になる銘柄)を狙うには「できるだけ割安に買う」ことも重要になります。

このような観点から、決算書はできるだけ発表当日に読むことが望ましいと言えます。発表翌日から株価は変動し織り込まれていきます。決算書の発表日は、各企業のWebサイトなどで公開されていますのでチェックしておきましょう