②管理職に無意味でどうでもいい仕事を増やす

管理職は、社員の不祥事など、管轄する部門内で生じるすべての出来事に対して監督責任を負う立場です。

会社が在宅勤務中であっても社員に禁煙を求めた場合、会社の目を逃れて喫煙している社員がいたと発覚すれば、上司である管理職も監督責任を問われることになります。管理職としては、在宅勤務であっても社員に禁煙を順守させなければなりません。

しかし、在宅勤務中に喫煙していないかどうかを監督するのは極めて困難です。

①で示したようにテレビ会議システムを常時接続したとしても、管理職がずっと社員の様子を眺めていられるわけではありません。自分が席を外している間に、部下がこっそり喫煙していることだって考えられます。

当然ながら、社員の監督以外にも管理職にはたくさんの仕事があります。

在宅勤務者の喫煙を監視するという、到底コンプリートできるはずのないミッションに時間と神経と労力を費やすことに、果たしてどこまで意味があるのか疑問です。

もし、在宅勤務者への禁煙要請などあくまで形式的な表向きの方針にすぎないという、暗黙の了解があるのだとしたら、ブルシット・ジョブ(無意味でどうでもいい仕事)そのものです。

得てして、他律的マネジメントを軸にした会社はそんなブルシット・ジョブを生み出し、管理職を含むあらゆる社員の不毛な仕事負担を増やしてしまいがちです。

自宅で仕事中、トラブルに頭を抱える男性
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

③「テレワークは無理」柔軟な働き方が機能しない

他律的マネジメントの職場は、社員が自分の仕事の“終わり”を決められません。

自分ではその日の仕事が終わったと思っていても、帰宅しようとした寸前に管理職から「ちょっとこれやっといて」と仕事を振られて残業することになったりします。

有給休暇を取得しようと思っても、休みを取得した日に、もし管理職から想定外の業務が振られてしまったら、自分が休んだために他の同僚たちにその業務が振られてしわ寄せが行くことも考えられます。

そんな心理が働いてしまうため、仕事が自律的にコントロールできない職場は、どうしても休みがとりづらくなってしまうのです。

また、自分の仕事が自分でコントロールできない職場はテレワークもしづらくなります。管理職としては、出社して目の前で仕事している社員から得られる情報量に比べ、目の前におらず、自宅や遠隔地で仕事している社員から得られる情報量は圧倒的に少なくなります。

その場で得られる情報を踏まえて管理職が都度適切に判断し、社員に細かな指示を出していく他律的マネジメントは、テレワーク環境にはなじまないスタイルです。