「辞める気になりゃなんでもできる」

一度、辞める、ということに意識を向けてみることで、視点を変えるのです。「死んだ気になりゃなんでもできる」という昔ながらの言葉がありますが、それをアレンジしたようなものです。

何人ものクライアントさんにこれを書いてもらいました。そうすると、不思議なことに気持ちが強く、大きくなって、今までなら我慢してしまっていたことも上司にどんどん言うようになったし、取引先に対しても今までとは違うより強い態度に出られるようになったのです。

中年のアジアの実業家が就任。ビジネスコンサルティング。
※写真はイメージです。(写真=iStock.com/metamorworks)

もちろんその一方で、辞表を書いたら清々しい気持ちになって、「やっぱり本当にこの会社を辞めたいと思っていたんだ」と本音に気づいた方もいます。

辞表や離婚届は悩める人を強くさせる

ある人は、いつもスーツの内ポケットに辞表を忍ばせて出勤していました。

彼は古い考え方の上司といつも衝突し、ずっと我慢を繰り返してきたのですが、「いざとなればこの辞表をたたきつけてやる!」と思いながら、上司と話をしてみると、不思議なことにそんなに抵抗なく彼の意見を上司が受け入れたのです。

その後も、不思議と彼の意見を上司は尊重してくれるようになったんです。ある日、上司との面接で彼は意外な言葉を耳にします。

「最近の君はとても頼もしく思っている。以前は実力はあるがどこかひ弱な感じがして、素晴らしい提案を持ってきてくれてもイマイチ説得力に欠けていた。しかし、最近の君は一皮剥けたように意志の強さを感じるし、きちんと筋が通った提案をいつも上げてくる。何かあったのかね?」

辞表を書く、というのは「覚悟を持つ」ことにつながります。そうすると自分では気づかないうちに意識が変わり、積極的だったり、強く出られたり、意思をはっきり持てるようになったりするのです。

ご紹介したのは仕事編ですが、夫婦編でも相談に来られた方に「離婚届」を書いてみることをおすすめすることがあります。一度、意識を反対側に振ってしまうことで見方が変わるし、しっかり「今」と向き合おうという覚悟が生まれるのです。

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