カウンセリングで「自分がしたいことは何?」と尋ねる理由

仕事を続けるのがいいのか、転職すべきなのか……カウンセリングでは当然そうした話題に触れることも多くなります。私はカウンセラーなので、「どうして辞めたい気持ちになるのか?」という感情、気持ちについての質問が多くなります。

たとえば、「仕事が面白くないから」という気持ちにも、さまざまな感情的背景が考えられます。仕事の中身が単純作業の繰り返しで飽きてしまっている場合もありますし、職場の人間関係がギスギスして居心地が悪い場合もありますし、苦手な上司と馬が合わなくて苦労している場合もあります。

そのとき、私は「自分がしたいことは何?」という質問をよくさせていただくんです。正直な気持ちは何? という意味で。

たとえば、上司が変わったら今の会社にいることが幸せに感じられるのでしょうか? それとも、上司が変わろうが変わるまいがこの仕事を辞めたいと思うのでしょうか?

そこでポイントとなるのが「自己評価」です。

転職しようか悩む人には「辞表を書いてみてください」

あなたは自分のことをどれくらい信じられるでしょうか? どれくらい自分のことを高く評価しているでしょう?

なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?書影
根本 裕幸『なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?』(フォレスト出版)

つまり、どれくらい今の自分に自信が持てるか? が大事なんです。ここで自己評価が低いと、他者評価に依存することとなり、他人軸になってしまいます。それだと自分が行動を起こす際にどうしても受け身に回ってしまいます。

「こんな実力のない自分なんて転職しても同じことを繰り返すだけ」とか「ほかの人はうまくやっているのにあの上司とうまくできないのは自分がダメだからだ」と思い込んでしまったら、思い切った行動はできませんよね。

それは転職すべきかどうか? という課題のときはもちろんですが、自分が取り組みたいプロジェクトがあってもそれを提案することに躊躇ちゅうちょしてしまうでしょうし、部内の意思疎通に問題があると気づいたときも改善案を提出する勇気が持てないでしょう。

そんなときにちょっと過激な宿題を出してみることがあります。

「辞表を書いてみてください」