コロナ禍で多くの外食産業が苦境に陥っている。経営コンサルタントの小宮一慶氏が財務状況を確認すると、「とりわけ『牛角』『かっぱ寿司』などを運営するコロワイドや、居酒屋チェーンなどを展開するワタミはかなり厳しい状況です。一方、マクドナルドは売上高、営業利益、純利益ともに増加。自己資本比率は、コロワイドやワタミが10%前後で低迷しているのに比べ、75.1%と驚異的な数字です」という――。
ロンドンのドライブスルーのマクドナルドの看板とワタミのロゴ(部分)
写真=iStock.com/TonyBaggett/プレジデントオンライン編集部
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同じコロナ禍で、これほどまでにくっきり明暗がわかれるワケ

新型コロナウイルスの影響が長引く中、外食産業では明暗がくっきりと分かれています。

「牛角」「かっぱ寿司」などを保有するコロワイドや、居酒屋チェーンや宅配食を展開するワタミはかなり厳しい状況です。一方、マクドナルドは好調を維持しています。今回は、これら3社の財務内容を分析してみましょう。

「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋」などを抱えるコロワイドは大赤字

まず、コロワイドの状況を見ていきましょう。コロワイドは、先ほども述べたように「牛角」や「かっぱ寿司」を保有していますが、他に「しゃぶしゃぶ温野菜」や「甘太郎」などを展開するほか、近ごろ「大戸屋」も傘下に加えました。

コロワイドの財務状況

図表1をご覧ください。直近の決算である2021年3月期とその2020年度との売上高を比べると、前年度の2353億円が1681億円にまで、率にして28.5%減少しています。大幅減少です。それにともない前年度は56億円あった事業利益(営業利益)も81億円の赤字に陥っています。(親会社株主に帰属する)当期純利益も赤字幅が拡大し、97億円のマイナスです。

そのため、資金の流出を防ぐ意味もあり、事業の投資を絞っています。2021年3月期の1年間では、店舗政策で見ると、26店舗の新規出店とフランチャイズの50店舗を直営化する一方、218店舗の閉店と直営3店舗のFC化を行いました。

私が経営コンサルタントとして顧客企業の財務状況を事業投資の規模の観点から判断するときには、「減価償却費と減損損失を足したもの(減価償却費等)」とキャッシュ・フロー計算書にある「有形固定資産の取得」とを比べます。減価償却費等は設備などの価値の目減り分で、通常は、その分くらいは再投資しないと全体の売り上げが減り事業規模の維持が難しいからです。

コロワイドの場合、2021年3月期で減価償却費等が267億円に対して有形固定資産の取得のための支出が53億円とかなり小さく、投資を抑制しているのが分かります。大戸屋の取得など、子会社の取得に別途約44億円を使っていますが、それを足しても減価償却費等には大きく及びません。

大きな当期損失が出ているので、通常なら中長期的な安定性を表す自己資本比率は、その損失分だけ減少するはずですが、逆に10%だったのが11.9%まで上昇しているのは増資を行っているからです。これにより、安全ラインの最低限の10%をかろうじて維持しています。また、増資と合わせ、有利子負債を225億円近く増加させることで現預金を確保し、2021年3月末で384億円の現預金を確保しており、当面の資金繰りには問題はないと考えられます。ただし、前述したように、抱えている多くのグループの飲食チェーンが不調の今、経営的には大きな試練の時期だと言えます。