社員の1/3をリストラしたNetflixの成功

動画配信大手のNetflix(ネットフリックス)がかつて社員数120人だった頃、ネットバブルがはじけ、同社もそこまで優秀ではない40人の社員にクビを言い渡したことがある。実に社員の1/3もの大リストラだ。これは創業者のリード・ヘイスティングスにとっても辛い経験だった。しかし数カ月後、ヘイスティングスは80人の社員が熱に浮かされたように仕事に熱中しており、自分自身も会社へ行くのが楽しくて仕方がなくなっていることに気づいた。

たしかに社員が大勢辞めて「能力の総和」は減った。しかしその一方で、やる気に満ち溢れた人材ばかりで構成された組織に生まれ変わったことで、「能力の密度」が高まった。こうして、優秀な社員にとって会社はワクワクするし、刺激を受けるし、最高に楽しい環境に変わったのだという。それ以来、「チームにたとえ1人でもやる気がない人間がいると、全員のパフォーマンスが落ちてしまう」というのが、ヘイスティングスの信条になった。

育たない部下は、芽の出る人材と取り替えればいい

人にはそれぞれに相応しい場所がある。向かない人を手塩にかけて育てるよりは、芽の出そうな部下を選別して育てる方がいい。無能を並にするには、一流を超一流にするよりはるかに多くのエネルギーを要するが、それによって得られる果実は少ないのだ。

田端信太郎『部下を育ててはいけない』(SB新書)
田端信太郎『部下を育ててはいけない』(SB新書)

そもそも「部下を育てる」というのは、生まれたばかりの赤ん坊を育てるとか、植物を育てるのとはわけが違う。「育てる」というと、じっくり相手と向き合うイメージがあるが、指示待ち型の部下ならともかく、自分で考え動くことのできる部下であれば、教えるというよりも「育つ環境」を用意して「その人物の潜在能力を引き出す」ことが大事になる。

チームで目標達成するために、「部下」が成果を上げるうえでのボトルネックになっているなら、部下を育てることが必要だ。しかし、育てることが無理な部下がいるなら、選別して芽の出そうな人材と取り替えればいい。そのうえで見込みのある部下には「環境」を用意する。そうすれば自分で考え動くことのできる部下は自分で育つことになるのである。

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