検索エンジンは「使われる」ことでデータが蓄積し精度が上がっていく仕組みですし、もう今からグーグルの向こうを張って検索エンジンを作ろうなんて思う企業もないでしょう。そういう意味では参入障壁が築けていると思います。

一方、フェイスブックですが、世界で30億人がユーザーになっており、「ネットワーク効果」(あるサービスを利用する人が増えることで、そのサービス自体の効用や価値が高まり、さらに利用者が増えること)が働いていると言われます。しかし、新しいSNSが出てきた時に、その新規参入者を排除できるほどの参入障壁がフェイスブックにあるかどうかは疑わしいと思っています。

かつて日本で流行したmixi(ミクシー)というSNSは、フェイスブックが入ってきたとたん、SNSとしては成り立たなくなってしまいました。

フェイスブック自身も、TwitterやTikTokなど他の媒体との間で「若者の時間」を奪い合っている状態です。若者は他にも面白そうなSNSが出てくれば、それも気軽に試してみるだけですから、SNSには何ら「スイッチングコスト」(既に利用している財やサービスから、別のものに乗り換える際の有形無形のコストのこと)が発生しないのです。

それを考えると、フェイスブックが今のまま10年後も強いまま残っていることができるのでしょうか? 私は難しいと思います。

S&P500インデックスに潜む「過大評価される企業」

他にも今を象徴する企業、S&P500構成企業ではありませんが、例えばウーバーに参入障壁はあるでしょうか? 米国に行かれた人はわかると思いますが、ウーバードライバーは同時に、競合であるリフトドライバーであったりします。ウーバーなど結局は単なる「マッチングアプリ」の一種でアイデアは面白いものの、参入障壁には疑問符が付くと言わざるをえません。

第三のウーバーアプリができれば、ドライバーはそれも使うだけで、結局はマッチングアプリ業者の競争はどこまでも終わることはないのです。残念ながら、ウーバーのビジネスはどれだけ「スケール」しても、思ったほど儲かるビジネスモデルであるとは言い難いと思います。

半面、ウーバードライバーもリフトドライバーも使っている「グーグルマップ」には参入障壁はあると思われます。ことほど左様に、参入障壁を持たないままに過大に評価されている企業が、現在のS&P500インデックスの中にもやはり相当数含まれているのではないでしょうか。

だとすると、ドットコムバブルの時と同様に、それらのビジネスが利益を生まないということが明るみに出た時にバブルが崩壊し、そのインデックスの持ち値に戻ってくるまでに10年以上かかることがあるかもしれないと思うのです。