環境に合わせて生き方を一変させるサバクトビバッタ

サバクトビバッタは、アフリカに生息する5cmほどのバッタです。

普段は草食でおとなしく、体は緑色。1匹で行動しています(これを「孤独相」と言います)。しかし、仲間の数が増えてくると性格が一変。凶暴な個体が誕生するようになります。体は黄色や茶色に変化し、はねが伸びて集団で飛び回り、各地の植物を食い荒らすようになるのです(これを「群生相」と言います)。

つまり、サバクトビバッタは環境の変化に合わせて生き方を一変させることで、なんとか生き抜こうとしているのです。

ちなみに、群生相のサバクトビバッタは風に乗って1日に100km以上も飛ぶことができ、農作物を次々と食い荒らすため問題となっています。

今年の春に発生したサバクトビバッタの大群により、アフリカ東部では数千万人が食糧危機に陥るとも予想されているとか。

また、その繁殖力は驚くべきもので、例えば1954年にケニアで発生したサバクトビバッタの大群は、推定500億匹とも言われています(日本でも昔はトノサマバッタの大群による農作物の被害がありました)。

季節に合わせて色を変えるオオムラサキの幼虫

サバクトビバッタは環境の変化に合わせて生き方を変える昆虫ですが、季節の変化に合わせて体の色を変える昆虫もいます。

例えば日本の国蝶(国を代表するチョウ)であるオオムラサキの幼虫。夏頃に生まれる幼虫は、植物の葉に似た緑色をしています。その後、脱皮を繰り返し、冬には枯れ葉に似た茶色に変わります。さらに春になると、再び脱皮して緑色に変化。敵に狙われないよう、季節の変化に合わせて自分の体の色を変えて、身を守っているのです。

環境に変化が起きたら、今までの生き方にこだわらず、自分自身を変えてみる。それがサバクトビバッタやオオムラサキの幼虫の生き方。どうやら生きる上で柔軟性を求められるのは、人も昆虫も同じようです。

オオムラサキの幼虫
イラスト=じゅえき太郎