「旅館の料理が多すぎる」投稿が議論になったが…

8月中旬、ツイッター上で「廃棄前提おじさん」というワードがトレンド入りしたことを記憶している人もいるだろう。ある男性が温泉旅館で出された料理について「多すぎて食べきれない(廃棄前提としか思えないし、実際にかなりの廃棄が出ているはず)」とつぶやき、それをきっかけに賛否両論が巻き起こったのだ。

筆者が参加した杭州市でのホームパーティー。この後も多くの料理が振る舞われた
写真=筆者撮影
筆者が参加した杭州市でのホームパーティー。この後も多くの料理が振る舞われた

偶然だが、ほぼ同時期、中国でも食品廃棄問題がホットトピックになった。習近平国家主席は2013年の主席就任時から倹約の方針を打ち出していたが、このたび改めて「光盤(皿を空にする)運動」を呼び掛けたのだ。中国には、多めの料理で相手をもてなすという伝統的な文化や習慣があるが、「食べ残しがあまりに多すぎる」ことに業を煮やし、大号令を掛けた。

これにより、人数分よりも1品少なく注文したり、レストランで半分の量を提供したりすることを推奨するという、かつてない動きが起きている。また、中国で人気のTikTokなどの動画アプリでは大食いの動画が大流行していたが、政府は大食いの投稿を禁止すると発表した。米中の貿易摩擦が激しくなるなか、政府は国内の食料不足を懸念しているのだ。

だが、こうした食料廃棄の問題と少し話がそれるかもしれないが、私が見たところ、ここ数年、中国人の食生活は驚くべき勢いで変化していると感じる。中国人について、ある程度知識のある人ならば、「中国人は(漢方の考え方から)冷たい飲み物を飲まないものだ」「中国人は(何でも火を通して食べるので)生野菜は食べないものだ」と思っているかもしれないが、近年、大都市の人々は冷たい飲み物を飲むようになってきているし、生野菜も食べるようになってきている。