ロックダウンで独身社員に異変が

仕事のやり方や働き方が変われば、コミュニケーションも変わります。緊急事態宣言が出された直後、私は社員たちにメールを送り、「これまで以上に丁寧なコミュニケーションが大事になる」とメッセージを発信しました。これはお客様に対してはもちろん、社内に対しても同様です。お互いに直接顔を合わせる機会が減るからこそ、相手のことを考え、優しさを持って接することが重要になります。

オンラインだからこそ1分の間でも「OK」か何度も確認する

私がそれを痛感したのは、日本より先に米国と欧州で新型コロナウイルスの感染が拡大し、海外の主要都市でロックダウンが始まったときです。そこで何が起こったかというと、現地で働く一部の社員たちが孤独な状態に置かれてしまった。特に独身の社員の場合は、たった1人で何週間も自宅に閉じこもり、人と話すのは電話やオンラインだけという状況が続いたため、精神状態がネガティブなほうに向かうことが多く、仕事のパフォーマンスが落ちる懸念がありました。

そこで私はグローバルの社長に対して、コミュニケーションの頻度を上げるように伝えました。例えばイタリアのチームでは、毎日9時や11時など奇数の時間が来るごとに電話かオンラインでメンバー同士がコミュニケーションを取るようにしました。それくらい頻繁に会話し、自分が誰かとつながっていると確認できれば、孤独感を深めるのを回避できます。

私自身が非対面の会話で心がけているのは、相手の理解度を確認しながら話を進めることです。オンラインになると対面のときは目線などで感じる相手の「OK」もしくは「わからない」のサインに気づけないことが多い。だからこそ画面越しに「OKですか?」「大丈夫ですか?」と、頻度を高く、1分の間でも何度も確認を取りながら話を進めることを意識してやっています。こちらが話したことが正しく伝わっているかを一つ一つ確認しないと、お互いの認識にズレが生じるリスクがあるからです。

社員たちも大きな変化の中で、新たなコミュニケーションを模索しています。海外の社員はお客様のご自宅にワインをお送りし、それを飲んでいただきながらのオンライン飲み会で親睦を深めたりと、それぞれに工夫しているようです。

これからも組織全体がスピード感を持って新しい時代に対応していけるよう、経営トップとして改革をリードするのが私の使命です。

(構成=塚田有香 撮影=門間新弥)
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