人が自然と集まる「コミュニティ」をつくるには、なにが重要なのか。年間200本以上のイベント運営に携わる河原あず氏は「企業でコミュニティ運営を任された人は、成果を焦るあまり、人数を集めることにこだわってしまう。それでは理想的なコミュニティはつくれない」という——。
在宅勤務でビデオ会議中
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「イベントに人が集まらない」

「イベントを開催したいのだけれど、なかなか参加者が集まらない」——。

私は普段、コミュニティ・アクセラレーターという肩書きで、企業や自治体のコミュニティづくりを支援するような仕事をしています。そのため普段から、コミュニティやイベントについて相談を受けることがよくあります。中でも6月に、初の著書『ファンをはぐくみ事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』(河原あず・藤田祐司著、ダイヤモンド社)を発売してからは、相談数がさらに増えていきました。

新型コロナウイルスの感染拡大後、オンラインイベントは急増しています。初めてコミュニティをつくったり、イベントを開催したりするビジネスパーソンが増えているのでしょう。中でも最も多いのが冒頭のような相談です。

「コミュニティをつくりたいので、まずはイベントを開催したいのだけれど、思うように人が集まらない」

こう頭を抱える人が増えているのです。

しかし、まず集客について悩む前に、考えてほしいことがあります。それは、あなたが「何のために人を集めるのか」というイベントの目的です。

今回は、「集客人数」をテーマにコミュニティづくりにおいて重要なポイントを整理します。

人手も予算もないのに「初回で100人集める」のは困難

企業がコミュニティを立ち上げる場合、多くの担当者がいきなり、イベントの企画について考え始めます。

例えば、ある医療器具メーカーのヤマダさんが、体重計や血圧計などの自社製品のコミュニティづくりを上司から命じられたとします。

いろいろとネットで調べるものの、コミュニティのつくり方がよく分かりません。

そこでSNSなどで調べてみると、競合他社が有名なゲストを招いて、オンライン健康相談会を、毎月1回開催していることが分かりました。

ヤマダさん「……よし! とりあえず、うちもイベントをやってみよう! 月1回じゃなくて、隔週にしよう。コミュニティの存在をたくさんの人に伝えたいし、参加者も増やしたい。上司が納得できる数字をつくりたいから、最低でもイベントは100人集めたいな」

イベントを企画することに、間違いはありません。しかし無理は禁物です。

コミュニティの運営を任されると、成果を焦るあまり、ついイベントの数や動員数を増やそうとしがちです。しかし、人手も予算もないのに頑張りすぎると途中で息切れしてしまうし、当初、思い描いていたようなコミュニティがつくれなくなってしまいます。