コロナ禍で新たな生活インフラが台頭

そして3つ目は、異業態間競争です。東日本大震災のときは、生活のインフラとしてコンビニが脚光を浴びました。それまで利用していなかった人もコンビニの品揃えの豊富さや便利さに気づき、市場シェアが急速に伸びました。コロナ禍の今、震災時のコンビニと同じ状況にあるのが、地域密着型の食品スーパーとドラッグストアです。特にドラッグは、小売業ではEコマースと並んで伸びている業態でしたが、コロナ禍でさらに売り上げを伸ばしています。

もともと粗利率の高い化粧品やOTC医薬品(処方箋なしで購入できる医薬品)を扱う傍ら、店舗を広げて食品を安く販売することで市場シェアを伸ばしてきました。そして、コロナ禍でマスクや除菌剤などを買いに来た消費者が、品揃えの豊富さや値段の安さに気づいたことで、その勢いはさらに増しています。そのあおりを受けて、コンビニはますます厳しくなると思います。

ただ、好調なドラッグ業界が評価されるということは、追い風になると同時にチェーン間の淘汰にもつながります。コンビニは震災後にM&Aが加速し、大手3社にほぼ集約されました。その中で、私が注目しているのが九州から全国に進出しているコスモス薬品です。他のドラッグが300坪程度の店舗規模であるのに対して、同社は500~600坪で食品の品揃えを充実させた店舗を展開しています。今後、市場が飽和状態になったときに、他社が真似しにくい展開をする同社の戦略は、競争優位につながるはずです。

(構成=増田忠英)
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