読売社説は「双方にくぎを刺す司法判断」と指摘する

7月1日付の読売新聞の社説は「総務省の決定は行き過ぎだが、大阪府泉佐野市のやり方にも問題があった。双方にくぎを刺す司法判断と言えよう」と書き出す。「最高裁の判断は喧嘩両成敗だ」との沙鴎一歩の見解と同じである。

しかし、読売社説はふるさと納税制度の問題をこう指摘する。

「ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付すると、それに近い金額が寄付者の住民税などから差し引かれる。その分、税収減が大きくなる自治体が出てくる。自治体間の相互不信が広がれば、制度の根幹を揺るがしかねない」

前述したように日本が自由主義経済を土台にしている以上、どうしても自治体同士の競争は避けられない。そこを読売社説はどう考えているのだろうか。

読売社説は続けて指摘する。

「ふるさと納税では、ほかにも問題が生じている」
「高知県奈半利町は、新制度導入後も基準を超える高額な返礼品を提供し、総務省には虚偽の報告をしていた。返礼品業者などから賄賂を受け取ったとして、職員が起訴される事件も起きている」
「他の自治体についても制度の運用状況を点検する必要がある」

繰り返すが、制度やシステムは常に点検してその効果を検証する必要がある。読売社説の指摘はその点をしっかり踏まえている。

制度に不備がありながら力ずくで地方を従わせようとした

7月2日付の産経新聞の社説も総務省と泉佐野市の双方に非を認めている。書き出しは「真にふるさとのための制度としていかなければならない。国も地方も、である」で、見出しも「ふるさと納税 真に地方を支える制度に」だ。

産経社説は国の姿勢をこう批判する。

「最高裁判決は、法は施行以前にさかのぼって適用されないとする原則を踏まえたものといえる」
「改正地方税法施行前の行為で新制度から除外することは、『後出しじゃんけん』のそしりを免れ得ない。国の最初の制度に不備がありながら力ずくで地方を従わせようとした姿勢は、反発を招いても仕方がない」

総務省は力ずくで泉佐野市を服従させようとした。これが産経社説の見立てのようだが、内情はそんなに単純ではない。背景には地方の衰退がある。産経社説にはそのあたりを深く指摘してもらいたかった。ちなみに産経が使っている「後出しじゃんけん」という批判の表現は、7月1日付の朝日新聞の「視点」(同判決の見方)でも使われていた。

泉佐野市にも産経社説は「もっとも、過度な返礼品が認められないのは言うまでもない。なりふりかまわない泉佐野市のやり方は、眉をひそめさせるものだった」と批判の目を向けている。やはり最高裁判決は喧嘩両成敗なのだ。