衝動的な離婚を阻止したいが…

5月末、中国の全国人民代表大会(全人代)で「離婚クーリングオフ」ともいえる制度の導入が決定した。提出から30日以内なら離婚届を撤回できるという法律で、2021年1月から施行される予定だ。中国では離婚率が年々上昇しており、政府には衝動的な離婚を阻止しようという狙いがあるが、当の中国人自身はこの制度をどう受け止めているのか。また、中国社会で離婚が増えている背景には何があるのだろうか?

中国・北京で開かれた全国人民代表大会(全人代)年次総会閉会式の様子=2020年5月28日
写真=Avalon/時事通信フォト
中国・北京で開かれた全国人民代表大会(全人代)年次総会閉会式の様子=2020年5月28日

「う~ん、どうでしょう? 冷静になって頭を冷やしたら元のさやに収まるというカップルも中にはいるでしょうけど、私はあまり意味がないように思いますね。冷却期間を置いても離婚する人は離婚すると思う。この法律によって少し離婚率が下がったからといって、だからどうだっていうのが本音です。そもそも、結婚や離婚は政府が介入していい問題ではないと思いますし……」

冷めた感じでこう語るのは上海に住む50代の女性。「離婚クーリングオフ」が決定したときには、周囲で多少は話題に上ったそうだが、結婚して20年以上のこの女性はあまり関心がなさそうだった。この女性が勤務する会社にも30代で離婚歴のある人が数人いるそうだが、最近は中国でも親しい人以外とはプライベートな話はあまりしなくなっており、詳しい事情はよく分からないという。

一方、「大学時代の同級生が昨年離婚したばかり」という30代の女性は「中国人同士のケンカはものすごく激しいから、頭に血が上ってつい離婚してしまったらしいけど、冷却期間があると思えば、少し意識が変わると思う」と、法律の導入に肯定的だ。