性格や夫婦関係、生き方はやっぱり寿命を左右する――。悲観的に生きる人は、長生きできない。大規模調査が、それを証明している。ストレスと病気の関係、最新の研究結果を報告する。
屋外自然の笑顔幸せな先輩カップル
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楽観的な見方、悲観的な見方と寿命

「病は気から」といわれるように「こころ」と「からだ」は密接に関連し合っている。たとえば、楽観的か悲観的かといったものの考え方、人生に目的を感じているかどうか、このようなことでも体の健康に大きな影響を与え、寿命は変わる。楽観主義と悲観主義との分かれ道は、コップに水が半分入っているのを見て楽観的な人は「半分も残っている」と感じ、悲観的な人は「半分しかない」と感じる違いである。

あるいは昇進ウツというのがあるように、仕事で昇進すると、手放しに喜ぶ人もいれば、責任の重さにプレッシャーを感じ、ストレスになる人もいる。同じことを経験しても、それをどう解釈し、どう表現するのか受け止め方には個人差がある。その違いを生み出しているのが「性格」で、それが「からだ」の健康を左右し、寿命も変わるのだ。

ハーバード大のカワチ・イチロウ教授らが健康な高齢者を対象に、楽観的であることが冠動脈疾患(狭心症と心筋梗塞)の発生リスクにどう影響するかを調べた結果では、発病した人の数は悲観的な考え方をする人たちより半分以下だったことがわかった。この調査では1300人余の男性(40歳から90歳まで平均60.8歳)を対象にアンケート調査を実施し、その結果より楽観グループ、悲観グループ、中間グループの3つに分けた。

その後10年間にわたって冠動脈疾患になったかどうか追跡調査を行った。その結果、162人が冠動脈疾患になっていた。悲観グループに比べて、冠動脈疾患の発生リスクは中間グループで0.66倍、楽観グループでは0.45倍と半分以上も減少したのだ。