2019年末、大学入学共通テストの直前見直しと「身の丈」発言で炎上した格好の萩生田文科相。ただ、教育改革じたいがこれで頓挫したと考えるのは早計のようだ。

大学の意気込みを外に示すチャンス

いま行っている大学入試改革は、高大接続改革の一環です。教育改革の議論の中で、大学入試の仕組みを変えないと高校の授業が変わらないという意見もあれば、受験のための高校教育ではないという意見もありました。やはり、片方ずついじってもダメ。そこで高校教育と大学入試を一気通貫で改革しようというのが高大接続改革であり、その1つが21年度から導入する大学入学共通テストです。

文部科学大臣 萩生田光一氏
文部科学大臣 萩生田光一氏

大学入学共通テストは、受験生が安心して試験を受けられる準備が十分でなく、19年末、民間の英語資格・検定試験の活用の延期や、大学入学共通テストの国語・数学における記述式問題の導入見送りを判断しました。

しかし、英語によるコミュニケーション能力や思考力・判断力・表現力を育成、評価することの必要性は変わりません。このため私のもとに検討会議を設けて、英語4技能の評価や記述式問題を含めた大学入試のあり方について、年内を目途に広く国民に受け入れられる提言をする予定です。

現場の高校生たちには本当に申し訳ないことをしました。関係する高校や大学に影響を与えたことも事実。そこは率直にお詫びしなければなりません。

他方、大学に対しては、もう少し大学としての強い意志を示すことを考えてもいいのかなという思いもあります。英語4技能の必要性は、大学関係者も反対していませんでした。すでに入試で民間試験を活用している学校はいくつもあります。共通テストへの民間試験活用は延期しますが、民間試験そのものは存在しているのだから、「国が止めてもうちはうちでやる」とフレキシブルに対応する大学がもっとあってもよかったのでは。