次の宇宙ステーションは2021年に打ち上げ予定

中国は本格的な宇宙ステーションの建設にも乗り出した。2011年、初の宇宙ステーション「天宮1号」の打ち上げに成功、2016年9月には「天宮2号」の打ち上げに成功した。

「天宮1号」は2016年3月に制御不能の状態となったことから、大気圏で燃え尽きず、破片が陸地に落下するのではと懸念されたが、2018年4月2日、無事南太平洋に落下した。「天宮2号」は予定通り、2019年7月19日、南太平洋に落下した。

次の本格的な宇宙ステーション「天宮」はコア・モジュールの「天和」、実験棟の「問天」、補給機「天舟」などで構成される。「天宮」は大型ロケット「長征5号」で2021年に打ち上げられる予定だ。

一方、NASAを中心にロシア、欧州、カナダ、日本などが参加する国際宇宙ステーション(ISS)は2024年に退役の予定だ。米議会で2030年までの延長が検討されているが、運用は民間へと移管される。すでに宇宙ベンチャーのアクシオム・スペース(AxiomSpace)が商用モジュールの打ち上げを決めたほか、宇宙企業シエラ・ネバダ(Sierra Nevada)が、日本の実験モジュール「きぼう」の再利用を計画している。

今後民間宇宙飛行士が続々と誕生し、新材料研究、創薬、ライフサイエンスの分野で、本格的な宇宙の商業利用が始まる。

2030年代に米ロと並ぶ「宇宙強国」を目指す

中国のロケット打ち上げ回数を見てみると、2018年には39回を記録、米国の31回を抜いて単独トップに立った。2019年も中国が34回(うち失敗2回)、ロシアが22回、米国が21回と、引き続きトップに立っている。

中国の目標は2030年代に米ロと並ぶ「宇宙強国」となることである。長年中国の宇宙開発をウォッチしてきた元JAXA国際部参事の辻野照久氏は、中国の宇宙開発が躍進した理由について次のように語る。

「まず米・ロ・欧など宇宙先進国から徹底的に学びました。また共産党政権による迅速な意思決定も強みとなっています」

その上でカギを握るのは大型ロケット「長征5号」と「長征9号」の開発にあるという。「長征5号」は2016年11月の初号機打ち上げに成功したものの、2017年7月、2号機の打ち上げに失敗した。3号機が2019年1月に打ち上げられる予定だったが、原因究明と改修に手間取り、7月、11月と延期されたあと12月27日にようやく打ち上げられた。搭載された量子通信静止衛星「実践20号」は無事軌道に投入された。