東大生の家庭の世帯年収は6割超が950万円以上だ。しかし、同300万円ほどで無名校から進学した学生がいる。彼らのお金をかけない超効率的な勉強法を探る。

参考書代の合計は、わずか2000円

「親が高額所得者じゃないと東京大学には入れない」という説は、果たして本当なのか。東京大学学生委員会の「学生生活実態調査報告書」を見ると、日本全体の平均世帯年収は約550万円なのに対し、東大生の家庭は6割超が950万円以上。しかし、満足な教育投資を受けられなくても、自力で合格という栄冠を手にした東大生もいる。

文学部4年生の布施川天馬さんは、大学に入るまで1度も家族旅行をしたことがなく、「父親の仕事が不安定で年収は300万円程度、一家3人が日々食べていくだけで精一杯でした」という。それでも中高一貫の私立共栄学園中学高等学校に進めたのは、成績優秀者は学費免除という特待生制度があったから。ただし、評定平均が基準を下回ると特待生の資格を喪失し、学費を納めなければならなくなる。それは布施川さんにとって退学宣告にほかならない。それゆえ両親からはいつも、「勉強はどうでもいいから特待生だけは死守してくれ」といわれていた。

そんな布施川さんが東大を意識したのは、高校3年の春だった。「進路相談で担任から『学業優秀で中高と生徒会長、吹奏楽部でも大活躍、これで東大に受かったらカッコいいじゃないか』と、わりと軽いノリで勧められ、それもそうだなとその気になりました」

しかし、そこから茨の道が始まる。なにせ実力が全然足りなかった。学年トップとはいえ、毎年何人も東大に送り込んでいる学校とはそもそもレベルが違うのだ。かといって予備校に通えるほどの経済的余裕はない。どうすればお金をかけず、短期間で東大に合格できる学力を身につけられるか、考えた末に布施川さんは、徹底した節約と効率化で受験を乗り切ることにした。