<strong><56歳で退職、独立>吉川隆久</strong><br>1948年、奈良県生まれ。71年神戸商科大学卒業後、大和銀行に入行。40代で系列のシンクタンクに出向し、研修事業部長等を歴任。04年に独立して専業のプロ講師に。登録する大手講師派遣会社の人気ランキングは昨年2位。講演依頼の約8割は派遣会社からの照会だが、約2割は昔の取引先や口コミ。毎年依頼するリピーターも多いという。
<56歳で退職、独立>吉川隆久
1948年、奈良県生まれ。71年神戸商科大学卒業後、大和銀行に入行。40代で系列のシンクタンクに出向し、研修事業部長等を歴任。04年に独立して専業のプロ講師に。登録する大手講師派遣会社の人気ランキングは昨年2位。講演依頼の約8割は派遣会社からの照会だが、約2割は昔の取引先や口コミ。毎年依頼するリピーターも多いという。

日本唯一の「変革クリエイター」を名乗り、企業・自己改革をテーマに講演活動をしている吉川隆久さん。

かつての肩書は、メガバンク系列シンクタンクの研修事業部長。前職では取引先向けにセミナーを企画、運営する仕事を担当していた。講師は外部の講師派遣会社から招いていたが、取引先からの依頼で自身が演壇に立つこともあった。

「もともと人前で話すのは苦手でしたが、やってみたら意外にうまくいき、参加者からも『話を聞いたら元気が出た』とお褒めの言葉をいただきました。それが嬉しくて、退職後はプロ講師になりたいと考えるようになりました」

まず趣味のゴルフをやめ、週末と平日の毎朝4~6時を読書に充てた。講師として活躍するには、自分を磨くことが何より重要だと考えたからだ。その結果、当初目標とした年間500冊を大きく超えた800冊を読破。本から仕入れた事例に自身の経験を踏まえた自分なりの解釈を加えて、講演で使うネタを蓄えた。

また在職中から講師派遣会社に登録。業務の一環として講演を続けたところ、いつしか登録講師5000人中、ランキング11位の人気講師になっていた。

「登録講師5000人のうち、実際に講演の仕事があるのは約1000人。さらに年間100本以上講演を抱える講師は、100人前後しかいません。その中で11位に入ったことで、プロ講師としてやっていく自信ができました」

プロ講師になるにあたり、「変革クリエイター」の肩書名称を商標登録申請、05年に認可を受ける。「会社の肩書はもういらない。これからは個人の肩書で勝負したかったんです」と、吉川さん。
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プロ講師になるにあたり、「変革クリエイター」の肩書名称を商標登録申請、05年に認可を受ける。「会社の肩書はもういらない。これからは個人の肩書で勝負したかったんです」と、吉川さん。

退職は56歳のとき。定年まで兼業で講師業を続ける道もあった。バブル崩壊や銀行再編を経てピーク時より給料は下がっていたものの、安定した収入は魅力だった。ただ、自身の講演テーマが背中を押した。

「人に変革を説くのに、自分がリスクも取らずに安全圏にいたら、言葉に迫力がないでしょう。人の心に訴える講演をしようとしたら、まず自分が変革しなきゃ」

独立後は奈良の自宅兼オフィスを拠点に、全国各地を飛び回る毎日。講演回数は年間150本に達する。退職直後は夫婦2人がなんとか暮らしていけるレベルだった収入も、いまでは銀行マン時代を上回ったという。

「変革というテーマは、業種業界、役職や世代を問わずニーズがある。ありがたいことに、講演を聞いて自己改革の意欲が湧いたというお手紙をいただいたこともあった。これからも声がかかるかぎり、講演を通してみなさんに元気を届けたいですね」