次の10年、企業の優勝劣敗を決するものは何か。世界的な経営コンサルティング会社であるボストン コンサルティング グループ(BCG)が「企業基盤進化」の5つの方向性を提示する——。

※本稿はボストン コンサルティング グループ編『BCGが読む経営の論点2020』(日本経済新聞出版社)の一部を再編集したものです。

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世界の時価総額上位10社はこの10年で様変わり

過去10年、世界経済の勢力図は大きく塗り替えられた。たとえば、世界の時価総額上位10社の顔ぶれは、2009年末には、各国の資源メジャーやメガ金融機関が主だったのに対して、2019年(8月末現在)では、米中のITプレイヤーが中心だ。

また、世界の時価総額上位50社に入るのは、日本ではもはやトヨタ自動車一社のみとなった。様々な構造改革努力にもかかわらず、世界経済における日本企業の影響力は、全体としては低下したと言わざるを得ない。

次の10年、世界経済が直面する変化は、過去10年とは比較にならないほど、巨大なものになるだろう。

現在までに顕在化しているものだけでも、AI・IoT・AR(拡張現実)/VR(仮想現実)・5G(第5世代通信)などの技術進化、主要経済圏における生産年齢人口の伸びの減速、中国の台頭に伴う世界経済の伝統的な秩序の揺らぎ、主要国での超低金利の長期化、持続可能性(サステナビリティ)に対する社会的要請の高まりなど、様々な世界的な構造変化の波が同時に押し寄せている。

今後、この変化は、新たな波動を巻き込み、スピードと複雑性をさらに高めていくだろう。