この事態にあっても、WHOは台湾を排除するのか

この事態にあっても、WHOは台湾を排除するのか。5月18日に行われたWHOの年次総会(今年はテレビ会議方式で開催)で、台湾はオブザーバー参加を拒否された。台湾の蔡英文総統は「WHOの事務局は圧力の下、台湾を総会に招くことを再び拒んだ。厳正に抗議する」と述べている。

街夜市で台北
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さすがに新型コロナ禍のさなかでの「台湾排除」には、日米豪をはじめとする各国から異論が噴出している。台湾のWHO参加は台湾の国益のみならず、コロナ封じ込めに成功した台湾の知見が国際社会の財産ともなり得るからだ。逆に言えば、今回こそ台湾の奮闘でそうした状況は免れたが、本来は国境を越えて広まる感染症への備えにおいて、台湾が国際的な取り組みの「空白地帯」となることは、台湾のみならず周辺国の脅威ともなり得る。

WHO非加盟であることは、国際的な感染症の情報を入手できないことを意味する。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行の際、感染症の情報をWHOから得られなかった台湾は、院内感染などで346人の感染者と73人の死者を出した。この時の経験と危機感が今回の新型コロナウイルスへの備えと迅速な対応を生んだのだが、そうであるならばなおのこと、台湾のコロナ封じ込め経験を、国際社会の防疫政策に生かすべきだろう。台湾もそれを強く望んでいるはずだ。