「なみかぜ」を歓迎するイスラエル社会

テクノロジーの発達や経済構造の変化により、今後はさらに、自分で考え、判断する能力と経験が求められるようになる。しかし、せっかくこうした力を身に着けても、実践する場がなければ宝の持ち腐れになり、力は衰えてしまう。身に着けた力をさらに伸ばし、その人が持つポテンシャルを活かすためには、さまざまな課題に取り組むことができる環境が必要だ。特に「課題を見つけて迅速に解決策を探し出す力」は、実践によってしか伸ばすことはできない。

イスラエル社会の特徴に、「納得できなければ、受け入れない」「徹底して議論する文化」があるが、これは、見方を変えれば、小さな課題を見つけては解決していくというトレーニングを、日常の中でも積み重ねていることを表していると言える。課題解決のプロセスには、波紋や摩擦がつきものだが、イスラエルは日本と違って、そうした「なみかぜ」を忌むべきものとはとらえず、むしろ歓迎すべきものと受け止めているようだ。

イスラエル×日本で「集中プログラム」をしてはどうか

こうしたことを考えると、やはり私がイスラエル取材で実感したスタートアップの勢いの背景には、課題解決を実践する機会の多さ、多彩さがあるように思われる。これまでの私の経験を振り返ってみても、やはり日本の社会には、こうした実践の機会がまだまだ足りないと感じる。こうしている間にも、世界はどんどん変化している。できるだけ早く、こうした実践機会を増やすための取り組みに着手すべきだろう。

では、具体的にどうすればいいのか。情報はどこでも手に入るようになってきているので、やはり直接イスラエルの人たちと接し、協働することで、彼ら・彼女らが持つエネルギーや課題に取り組む姿勢を学びとることが一番の近道だと思うに至った。

ここからの私の提案は、複数のプログラムをイスラエルと日本で、同時に進めるというものだ。

特定の業界から企業を数社募り、それぞれ10名程度のメンバーを数カ月間イスラエルに送り込む。そして各企業の課題を解決するためのテクノロジー、スタートアップ、人材などを探し出し、交渉して何らかの提携、協働に結び付けることを目指す集中プログラムはどうだろうか。同じ業界内であればチーム間で競争が起こるため、良い緊張感が生まれてアウトプットの質も上がるだろう。

一方、日本で行うプログラムでは、幅広く企業を募って参加者を集め、ディベートや小グループでのディスカッション、課題の発見から解決策を立案・実行するプロジェクトなどを行ってスキルを磨く。そのなかから、イスラエルでの集中プログラムに参加するメンバーを選抜してもよいだろう。