シワやシミ、動脈硬化などの老化現象の要因になり、エネルギー産生能も低下するので動くのが億劫になる。その結果、もっと筋肉量が減少するという悪循環だ。
打つ手はただ1つ、運動することなのだが、ここで本人が「ややきつい」と感じる最大体力の70%以上の運動を取り入れないと、筋肉量は増えにくい。しかし平地では実現するのが難しいのだ。「山に登る」という動作なら自然とこの70%以上に達しやすく、しかも低山であれば心身のリフレッシュに貢献する。
「週1回低山を登るだけで、平地で速歩きで1日15分、週4日程度のウオーキングと同等、またはそれ以上の効果が望める」(能勢氏)という。
心地よく、楽しいと思う刺激を取り入れる
山登りは「脳の活性」や「決断力向上」にも有効だ。適切な運動トレーニングを行うと、マイオカインと呼ばれる筋肉由来のホルモン様物質によって、脳内でBDNF(神経細胞の発生や成長などを促進させる神経栄養因子)が生産される。
「有酸素運動を実施することで認知機能が向上するという報告もあります。日常生活や仕事でなかなか物事を決断できなくなった人は、山登りをしてみては。体力向上にもなりますが、山では足場の不安定なところが多く、そうしたところを歩くことで脳機能改善が期待できます。さまざまな組織のタンパク質合成にもつながり、肌や髪などの若返りも助けるんですよ」(同)
体全体への適度な負荷によって筋肉内に乳酸が発生し、それが脳を刺激して成長ホルモンなどの分泌を促すのだ。
最後に、最近どうにもやる気が起きない、アイデアが浮かばないという人へ。神経内科専門医の米山公啓氏によると「脳のスランプ」があるという。
「脳のスランプから抜け出るには2つの方法があります。1つは徹底的に仕事をし、よりよい思考方法を見つけること。2つめは一切の仕事から遠ざかり、脳を休ませるという方法。休ませる1つの手段として、仕事とは全く関係のない庭仕事でもして時間を過ごすのです。私自身、開業医として週の半分くらいは患者さんを診療していますが、残りの時間で作家として原稿書きを続けています。2つの仕事をすることで脳の切り替えができて、うまくバランスがとれているのかもしれません」
「完全停止」でなく脳を“アイドリング”状態に保つ「積極的休養」。自分が心地よく、楽しいと思う刺激を取り入れることによって、連休明けの仕事で良いスタートを切れるかもしれない。