ツイッターで自らを追い込む

孫正義といえば、「やりましょう」というツイートが有名ですが、新たなビジネスになりそうなアイデアを思いついたとき、普通の人なら手帳にメモしておくような事柄を、彼はお客さんに向けてツイートしてしまいます。

会議室でミーティングする3人のビジネスマン
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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例えば「人型ロボットPepperに手話機能を搭載する」「ソフトバンクショップでの待ち状況リアルタイム公開」など、ユーザーからの要望が寄せられたとき、自分が素晴らしいと思ったアイデアに対しては「やりましょう」と即座にツイートしてしまいます。

彼は常々「追い込まれなければ本当の力を発揮できない」と話しているから、これは自分を奮い立たせるための行動なのです。

私は、2005年から14年まで、ソフトバンク社長室長を務めました。8年間にわたって孫の傍らで仕事をしてきた私の印象では、孫は「メモの人」です。ただし彼のメモは「覚え書き」や「備忘録」といった性格のものではありません。

ソフトバンク本社には、秘書たちが“迎賓館”と呼ぶ和室の応接間があります。その部屋のふすまは、すべてホワイトボードになっているんです。海外からの賓客を招いて意見交換する際、孫は議論のポイントをその襖に書き出し、アイデアを共有しながらビジネス構想を練り上げることもありました。