自動売買で感情を排し安定収益を目指す

システムトレードとは、あらかじめ決めたルールに従って継続的・機械的にトレードする投資法のことをいう。持っている株が上がりだすとすぐに売って利益を確定したくなるのに、下がりだすとなかなか売ることができない、といった人間ならではの感情のブレを排除。相場の見通しが不透明な状況下で、「人為的ミスによって大損失を被るリスクを減らすことが可能」(ファイナンシャルプランナーの藤川太氏)なのが最大の特徴だ。

一口にシステムトレードといっても、目的や用途に応じて様々な形式が存在する。投資の熟練者なら、自分で売買ルールを設定し、過去の相場で検証(バックテスト)しつつエクセルなどでシステムをつくるか、証券会社や金融情報会社が提供している有料の完全自動売買システムなどを利用するのが一般的。「自分で売買ルールを設定できない」「自分で取引するのは面倒」という人向けには、システムトレードならではのメリットを享受できる投資信託も登場している。

「カブロボファンド」
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「カブロボファンド」

7月にマネックス証券からリリースされた「日本株ロボット運用投信(愛称:カブロボファンド)」は、ファンドマネジャー(運用指示者)を介さず、売買プログラム(カブロボ=株ロボット)経由でだけ運用する国内初の商品。とりまとめ役のマスターロボットと、得意領域の異なる複数の実運用ロボットから構成され、市場状況に応じてマスターロボットが各ロボットの資産配分を決定する。配分された資金を受け、各ロボットが東証一部上場企業のうち約500銘柄を対象に売買注文を自動生成。マスターロボットが各注文をとりまとめ、ファンド全体の資産やリスク管理まで行う仕組みだ。

マネックス証券の萬代克樹取締役は、「投資対象企業の業績動向などのデータだけでなく、短期的な株価のトレンドや値動きも収益機会としてとらえるため、機動的な運用が可能」と言う。小刻みな売買をくり返す、あるいは買わないで現金をもったまま投資機会をうかがうなど、通常の投資信託にはないユニークなアプローチを実践することで、強い上昇トレンドが不在の相場下でも力を発揮することが期待できる。

ファンドに採用されるロボットは、2004年から産学連携プロジェクトで実施されてきたカブロボ・コンテストの勝者たち。同コンテストには、これまで延べ1万9000人以上が参加しており、現在も実運用に向けて育成中のロボットが約50体控えている。優秀なロボットとの入れ替えや追加も必要に応じて行っていく予定だ。

藤川氏は「システムにも、人間と同じように負けがこんでくる時期(ドローダウン)がある。そのリスクをヘッジする意味で、性格の違うロボットを組み合わせているのは有効」と同ファンドを評価。実際、昨年行った運用シミュレーションでは、市場平均のTOPIXを上回る好成績を挙げている。

ただし、「右肩上がりで急上昇するような相場には弱い」(萬代氏)ため、一発狙いたい人には不向き。「今後、上下動しながら推移する不透明な相場が続くと考え、安定的な収益を挙げたい人に向いている」(藤川氏)。2~3年程度の中長期で保有する商品として位置づけるのがいいだろう。

保有コストは、1.47%の信託報酬に加え、売買委託手数料などがかかる。通常の投資信託より売買頻度が高くなるため、その分のコストは高めになる点には注意したい。