年間110万円までの贈与には税金がかからない

贈与税は、1年間につき110万円の控除額がある。言い換えると、年間110万円以内であれば贈与税がかからないということになる。

具体的に見ていこう。1人につき、110万円贈与するとする。子どもである太郎さんと次郎さん、それに孫の翔さん、寛さん、豊さん、翼さん、合計6人。

110万円×6人×1年=660万円

この方法で贈与をすると、田中一郎さんは、1年間で660万円生前に贈与することができることになる。

110万円×6人×2年=1320万円

先ほど、田中一郎さんの改正後の相続税課税対象は1200万円だと算出した(①)。110万円を6人に2年間生前贈与すれば、田中一郎さんは相続時に相続税を納めなくても済むということになるのだ。

生前贈与は誰に行っても構わない。長い目で見ると、田中一郎さん一族の場合、子どもである太郎さんと次郎さんには贈与せず、孫である翔さん、寛さん、豊さん、翼さんに贈与をする方が有利になる。

子どもを飛ばして孫に贈与することで、子どもである太郎さんや次郎さんが亡くなられた場合、相続税の課税対象に含まれることを免れることができるからだ。

このケースだと3年間の贈与で相続税がかからなくなる

では、孫4人に生前贈与する場合で考えていこう。生前贈与の方法は現金手渡しと預金振込どちらでも大丈夫だが、税務署に尋ねられた際その贈与の事実を証明するために、預金振込にした方がいいだろう。

田中一郎さんの場合、毎年110万円を孫4人に贈与した場合、1年間で440万円の資産を税金を納めることなく移転できることになる。

課税ベースの1200万円を贈与しきるには、

1200万円÷(110万円×4人)=2.7年

田中一郎さんは、3年間生前贈与を続けることで、相続時に相続税がかからない計算になる。

ここで、生前贈与する際の注意点について確認しておこう。

1.毎年贈与契約書を作成する
2.通帳や印鑑・キャッシュカードなども贈与をする子や孫に渡し、自由に使えるようにしておく
3.相続が始まる3年前までに済ませておく

この3つだ。