注目すべきは来年7月以降のコンビニの売上

影響がなかった3つめの業態はコンビニです。キャッシュレスに対する2%ポイント還元政策が話題になった影響が大きかったのでしょう。さらにコンビニはもともと税率が8%のままの食品の売上比率が多いこともプラスに寄与したはずです。売上は前年同月比でみると実に3.3%増と逆に増えているのです。

これは想定の範囲内だとは思いますが、気になるのはキャッシュレス政策が終わる来年7月以降にコンビニの売上が維持できるかどうかです。ここはコンビニの未来を予測するにあたって注目すべきポイントだと思います。

一方で10月の速報値を見ると、これから先、増税の悪影響を受ける業態がどこなのかも見えはじめてきました。順に見ていきましょう。

まず大きく目をひくのが百貨店です。既存店の数字を見ると前年同月比16.4%減となっています。なかでも衣料品が20.7%減というのは想定以上のダメージです。さらにデパ地下人気で強いと思われていた飲食料品も4.7%減。やはり消費者が財布のひもをしめる際には食品でも贅沢なものから買い控えていくという現象が速報値に表れているようです。

予想以上に消費動向に影響を与えている

次に家電量販店は14.2%減、自動車小売業は17.0%減とどちらも苦しい状況です。もちろんこの2つの業態は増税前の駆け込み需要も大きい業態だったことから10月が減るということは十分に想定できていました。とはいえ小売全体の減少と比べて減少幅が非常に大きいことを考えると、この先の厳しい戦いが目に見えるような気がします。

最後に気になるスーパーマーケットの状況を見ると既存店で対前年同月比は4.3%減。増税の影響しなかった食品の比重が大きい業態だということもありますが、それ以外の商品を含めてこの程度の売上減に抑え込めたのは、この先の見通しという点でいえばある程度明るい結果だったといえるのではないでしょうか。

結果をまとめると、消費税が10%に上がるということはやはり予想通りというか予想以上に消費者にとっては重大事で、それなりにきちんと財布のひもがしまりはじめていることが速報値から垣間見れます。

その中で必需品である処方薬、増税されなかった食品は優先してお金が遣われている。安売りのドラッグストアとキャッシュレスの恩恵があるコンビニは売上を維持ないしは伸ばしている。その分、デパ地下のような贅沢な食品にはややブレーキがかかり、衣料品、家電、自動車といった分野がまっさきに節約の対象となっている。

今回の商業動態統計の速報はそんなことが読み取れるかなり重要なニュースでした。

【関連記事】
国のキャッシュレス還元がこんなにも酷いワケ
"モノを買わない若者"は一体何にお金を使うか
ソフトバンク・ショックと世界経済の恐い関係
ソフトバンクが倒産したら日本はどうなるか
なぜサイゼリヤの客離れが止まらないのか