多くの人にシェアされる動画は、どうすれば作れるか。ワンメディアの明石ガクト社長は「いつの時代も人の心が動く動画には、4つのSが共通している。なかでも最も重要なのはStory(物語)だ」という――。
ワンメディア社長の明石ガクト氏

自分たちっぽい動画ってなんだろう

ワンメディアは2014年に創業してから、なかなか芽が出ない時期が続いていました。そんなある日、共同創業者であり現在は執行役員を務める佐々木から、「ガクトさん、映像の会社というのはそれぞれ、“あの会社と言えばこういう表現だ”という明確な特徴があるものですよ」といわれました。

たしかに考えてみると、スタジオジブリはたとえ名前が載っていなくても、絵柄やキャラクターの雰囲気、色のトーンなどから、「あ、ジブリ作品だ」、あるいは「ジブリっぽいな」と、なんとなく察することができます。テレビの制作会社やCMプロダクションも同様で、各社とも制作物に滲み出る特徴を持っています。

では、ワンメディアはどうなのかといえば、特徴がある動画を作っているとは決していえない状態でした。これは当時のワンメディアがお金にも人材にも乏しい弱小スタートアップであったため、僕たちならではの表現というものを作る余裕がなかったことにも理由があるでしょう。

お金さえあれば、いいカメラを使ったり、話題のタレントを起用したり、様々なやり方はあると思います。しかし、当時の自分たちはどちらもできない状態だったので、とりあえず「パソコン上で完結する特徴作り」をメンバーで試行錯誤することにしました。

そうして作り上げたのが、ワンメディアの得意とするインフォグラフィックス動画です。