作業服をスタイリッシュにして一般客にヒット

この空調ファン付きウエアのヒットが、ワークマンの強さを端的に示している。ここ数年の猛暑を受けて、作業現場などで空調ファン付き作業服が広がっているが、ワークマンはアウトドアやスポーツ観戦などでも着られるスタイリッシュなデザインのものを開発して一般客向けにも販売し、ヒットさせることに成功した。こうした芸当はワークマンならではだ。

ワークマンはもともとは建設現場などで働くプロ客向けの作業服を得意としていた。そこに、ファッション性の高い作業着を開発することで新たな顧客の獲得に成功したわけだ。

結果、「業務用の防寒着がバイクユーザーに」「プロ向け雨具が登山ユーザーに」といった現象が起きるようになり、裾野が広がっていった。こうした変化を受けて、一般客向けの衣料品も扱う新型店「ワークマンプラス」を18年9月から展開している。

一般客向けのプライベートブランドを充実

ワークマンの成長の原動力となっているのが、プライベートブランド(PB)だ。アウトドア向けの「フィールドコア」、スポーツ向けの「ファインドアウト」、レインスーツの「イージス」の3ブランドを主力に、約1000アイテムを展開している。PB商品の19年3月期の売上高は前期比44%増の368億円と大きく伸びており、全体における売上比率は40%にも上る。一般客向けを強化したことが奏功した。

今期(20年3月期)も強気の姿勢だ。PB売上高は前期比45%増の536億円を見込む。フィールドコア、ファインドアウト、イージスの3ブランドで310億円とした。

今年の夏は空調ファン付きウエアに注目が集まったが、この秋冬に注目すべきは「着るこたつ」になるだろう。

写真提供=ワークマン
「ウィンドコア ヒーターベスト」(9800円)

商品名は「ウィンドコア ヒーターベスト」(9800円)で、ベストの中に電熱線が入っており、スイッチを入れると暖かくなる仕様になっている。温度は50度、45度、40度の3段階で調節できる。まさにこたつを着るかのようだ。空調ファン付きウエアと同様にヒット商品になるとの見方がもっぱらだ。すでに口コミなどで人気を集め、店舗の在庫は品薄あるいは完売になっているという。