オフィスにあるパソコンやコピー機、をよく見てほしい。「○○リース」といったシールが貼られてはいないだろうか。自動車販売会社の広告でも「リース」をうたったものが目につく。一方、三井リース事業と協同リースが経営統合を発表するなど、リース業界再編のニュースも相次ぐようになった。今回は会計の世界から、このリースを覗いてみよう。まず、会計上のリースのメリットから考えてみたい。

(1) 多額な設備の購入資金を必要とせず、金融機関の融資枠を手付かずにしておけるため、事後の資金調達が助かる。
(2) 設備を購入してしまうと、その後により性能がいい設備が開発されても、減価償却が終わるまではおいそれと買い替えできない。しかし、リースなら期間が柔軟に設定できることもあり、早期に最新鋭の設備に切り替えられる。
(3) 設備を購入するとかかる償却費計上の事務負担、そして固定資産税の申告納付や保険などが不要になる。
(4) リース料を全額経費として落とすことができる。
(5) リースで導入した設備は、基本的に貸借対照表の固定資産として計上しない、つまり「オフバランス」として処理できる。この結果、後で詳しく解説するが、「ROA」などの財務分析指標の悪化が回避可能となる。

特に大きな「メリット」とされてきたものが(5)の「リース資産のオフバランス効果」だ。しかし、これは長らく問題視されてきた。というのも、1993年に公表された「リース取引に係る会計基準」の抜け道にほかならなかったからだ。

具体的にいうと、リース契約書上で「リース期間満了時に、所有権が移転しない旨」を取り決めることで、いわゆる「所有権移転外ファイナンス・リース」という区分に分類される。そして、支払ったリース料を費用処理するだけの「オフバランス化」が可能となったのだ。もちろん、このような処理は従来のリース会計基準上、例外規定と位置づけられている。しかし、皮肉なことに圧倒的多数の企業が基本的に採用する「大多数派の例外規定」となってきたのだ。

図表の例で説明しよう。ある企業が利用している設備70のうち、50が購入、20がリースだとする。現行のリース会計基準では「現金預金30+固定資産50=80」と総資産がバランスシート上表示されるだけ。リース資産20はオフバランスである。本来の総資産額100よりも過小な表示となってしまう。ここで、当期の利益が8だとすると、ROA(総資産利益率)は、「(8÷80)×100=10%」と計算される。

しかし、実態とかけ離れた状態は放っておけず、2008年4月からリース取引に関する会計基準が改正される運びとなった。そして、所有権移転外ファイナンス・リース取引であってもオフバランス処理を認めず、全面的に資産を購入したとして貸借対照表に計上するオンバランス処理をさせることになったのだ。

どう変わるかを示したものが、図表の右側の例である。総資産の額を「現金預金30+固定資産70(従来の資産50とリース資産20を合算)=100」とし、ROAを「(8÷100)×100=8%」と計算し直している。実際の企業内の設備利用状況を見ると、右側の例のほうが実態をより正しく表示しているといえよう。今後は、08年4月1日以降開始の事業年度より適用される新しいリース会計基準の導入で、ROAなどの財務分析指標がより実態に近い数字に近づくだろう。つまり、これまでのオフバランス効果という大きなメリットがなくなるわけで、リースに対する需要は大幅に減ることが予想される。そこで、生き残りをかけたリース業界の再編が繰り広げられるようになっているのだ。1つの会計制度の変更が業界を大きく動かすこともあることの格好の例といえよう。