東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移す検討が始まった。スポーツライターの酒井政人氏は「フルマラソンを走るには札幌でも暑すぎる。いっそのことマラソン競技を取りやめにするか、開催時期を11月以降に移動すべき」という——。
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札幌へ開催地を変更しても「マラソン本来」の面白さは出ない

IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は10月17日、カタールのドーハで開かれたオリンピック関連の会合の演説で、東京オリンピックのマラソンと競歩の会場について、「IOC理事会と大会組織委員会は、札幌市に移すことに決めた」と述べた。

バッハ会長は、「私たちは選手の健康を常に懸案事項の中心に置いています。マラソンと競歩の(開催地)変更案は懸念を私たちが真摯に受け止めている証し。選手に最高の状態を確保する措置だ」とコメントしている。

今回の判断には、9月下旬に開かれたドーハ世界陸上のマラソンと競歩で棄権者が続出したことが影響しているという。筆者はドーハ世界陸上を現地で取材している。その経験から、ひとつ主張したい。札幌は東京よりも涼しいが、これでマラソンという競技が面白くなるとはとても思えないのだ。