視野を広げてくれた英語

撮影=原 貴彦
フジテレビの三田友梨佳アナウンサー

【三宅】ということは、そもそも英語を学んでいなかったらスピーチコンテストに出ようとは思わず、アナウンサー志望にならなかった可能性もある、ということですね。

【三田】そうですね。もっといえば、英語を学んでこなかったら「海外で働きたい」とか「国際政治や国際経済を学びたい」といったことを思わなかったかもしれません。

【三宅】英会話スクールはお母さんの勧めで入られたのですか?

【三田】最初はそうでしたけれど、英語を好きになってしまったので、喜んで通いつづけました。

【三宅】英語のどんなところが好きだったのですか?

【三田】海外の方々とコミュニケーションがとれることです。スクールに行けば外国人の先生とお話ができる。それが楽しくて通いました。

【三宅】テストの点数を上げる手段としての勉強はつまらないですけれど、コミュニケーションをとる手段としての勉強なら身が入りますからね。

【三田】本当にそう思います。あと両親からは「グローバルで活躍する人になってほしい」と常々言われていました。幸いなことに小学校4年生の頃から毎年夏になるとイギリスやオーストラリアにサマーキャンプやホームステイに行く機会を与えられました。

【三宅】毎年ですか! それは素晴らしい親御さんですね。

【三田】今思うとありがたいことです。当時の私は英語がうまくなりたいから行くという意識はまったくなかったのですが、結果として英語力の向上につながったと思いますし、行くたびに自分の知らない世界を知れて視野がどんどん広がっていったと思います。

【三宅】今のお話をうかがって、お子さんをグローバルな人材に育てるためには、「英語を学ぶ」ことと「英語を活かす」ことと「海外に対して視野を広げる」ことをうまく連動させていくことが重要なんだなと感じました。

【三田】私もそう思います。

通訳なしに話せるメリットは大きい

【三宅】アナウンサーになられてみて、英語力はかなり活かされていますか?

【三田】おかげさまで大きな武器になっているという感覚はあります。

たとえば私は大学の卒業論文で「The Benefit of Hosting the Olympics」というタイトルでオリンピック開催のメリットを考察する論文を書いたのですが、ありがたいことにソチオリンピック(2014年)、ピョンチャンオリンピック(2018年)と2回、現地キャスターを務めさせていただいて、アナウンサーになったら叶えたかった夢がいきなり実現してしまいました。

そして「いつかは報道を」と思っていたら、今年の4月から報道番組『Live News α』を担当させていただけるようになって、世界で活躍されている方々にインタビューする機会を頂戴しています。

【三宅】その際は英語で?

【三田】はい。実は今日もこの対談の前にクエンティン・タランティーノ監督にインタビューしてきたのですが、メディアとして通訳を介さないでお話ができるメリットは実はすごく大きいのです。

【三宅】どのようなメリットですか?

【三田】細かいニュアンスまで伝えることができたり、インタビュー相手の気持ちをより理解できるといったことも大きいのですが、なによりインタビュー時間が短いので通訳を介すと単純に時間が2倍かかり、聞きたい話が聞けないということが起きるのです。

【三宅】なるほど。たしかにそうですね。

【三田】オリンピックのような国際大会になると、1~2分しか与えられないこともありますから、直接コミュニケーションがとれるというのは、ものすごく重要なことなのです。