日本にとって最適なエネルギー政策とは

表2の(1)の「原発依存シナリオ」は、現行の「エネルギー基本計画」の内容を示したものである。このシナリオが福島第一原発事故によって実現不可能になったことは、すでに指摘したとおりである。

(2)の「現状維持シナリオ」は、火力発電のウエートを30%としたケースである。このシナリオでは、30年における原子力発電のウエートは、現状と同じ30%となる。

(3)の「脱原発依存シナリオ」は、火力発電のウエートを40%としたケースである。このシナリオでは、30年における原子力発電のウエートは、現状を約10%下回る20%となる。

(4)は、原子力発電のウエートを0%とする「脱原発シナリオ」である。このシナリオでは、火力発電のウエートが60%になってしまい、燃料費等のコスト面を考えると、シナリオとしての現実性は低いと言わざるをえない。

問題は、(2)と(3)のシナリオのどちらが高い蓋然性をもつかという点に絞られるが、筆者は、今のところ、(3)の「脱原発依存シナリオ」になる確率が高いと考える。それは、「日本における原子力発電の規模が将来的には縮小してゆくという大局観」をもつことが大切だと考えているからである。

なお、筆者は最近、『原子力発電をどうするか』(名古屋大学出版会、11年8月20日刊行)を出版した。ここで述べた30年の日本における電源構成の見通しに関する詳しい説明については、同書を参照されたい。

(AP/AFLO=写真 平良 徹=図版作成)