加齢とともに記憶力は落ちるといわれている。だが脳の可能性は無限大だ。今回、「最高齢」で難関資格に合格した人たちに、その学び方を聞いた。第4回は「79歳で宅建士」の和田京子さんだ――。(全4回)

和田京子さん(89歳)は不動産業を営む経営者だ。和田さんが宅建(宅地建物取引士)の試験に女性最高齢合格を果たしたのは、79歳のとき。ずっと専業主婦で、不動産業の経験などない状態からの挑戦だった。80歳で和田京子不動産を創業し、仲介手数料を無料にするなどのサービスを提供、着実に事業を運営してきた。どのようにして難関資格を取得したのか。

チェックボックスを書き足して勉強

とにかく「宅建命」。命をかけて勉強しました。

77歳で夫を看取りました。10年間にわたる老老介護から解放され、緊張の糸が切れたように気力を失い、自分は「終わった人間」だとさえ思っていました。そんな私を見かねた孫が、「おばあちゃん、勉強しようよ」と言い出したんです。80間近の人間が勉強なんて、と思ったのですが、「好きなことを勉強したらいい」という言葉で思い浮かんだのが、不動産業でした。

私は人生で7軒、住居を購入しています。そのいずれもが欠陥住宅で、トイレが使えない、排水管がデタラメといったトラブルに直面してきました。それに、私には昔から、自分がとても買えないようなお家の間取り図を描いて楽しむという趣味がありました。