ほかのQRコード決済にはない強みがある

2018年、LINEの「LINE Pay」が話題となりました。サービス自体は14年12月にローンチされていますが、18年6月、新たにQRコード決済機能がリリースされたのです。それも、「加盟店の導入費用ゼロ、今後3年間は決済手数料無料」という赤字前提の大攻勢です。

現在、日本のQRコード決済市場は、ソフトバンク・ヤフー連合による「ペイペイ」に、楽天の「楽天ペイ」、メルカリの「メルペイ」などが参入し、群雄割拠の様相を呈していますが、LINEはここで一気に覇権を取る姿勢を明らかにしたのです。

LINEはもともと、「LINE上から送金・決済をする」サービスとしてスタートしました。LINEアプリ内に組み込まれているため、専用アプリをインストールする必要がありません(2019年に専用アプリもリリース)。約7900万人のLINEユーザーが、今この瞬間にも、LINE Payを使える状態にある、ということです。これは他のQRコード決済アプリにはない、LINE Payの圧倒的な強みだと言えます。

真の目的は「巨大なエコシステム」を作ること

しかしここで重要なのは、LINEは、QRコード決済の覇権そのものを目的とはしていない、ということです。第一、「加盟店の導入費用ゼロ、今後3年間は決済手数料無料」である以上、LINE Pay単体では、儲けようがないのです。手数料を無料にしてまで手にしたいものは何か。一つには、そこで得られる膨大な決済データです。これをビッグデータとして蓄積し、新たな金融サービスへと活かそうとしています。

今、LINEが、みずほ証券と組んでのLINE Bank、野村證券と組んでのLINE証券、さらには保険サービス、ローン、仮想通貨と金融サービスを矢継ぎ早に立ち上げているのは、このような背景があってのことです。

もっとも、金融事業の覇権すら、LINEの目的ではないのです。

真の目的は、優れた顧客接点としてのコミュニケーションアプリであるLINEを起点に、決済をはじめとする金融サービスを垂直統合し、さらには生活サービス全般を支配する。つまり、巨大なLINEエコシステムを構築することにあります。

中国ではIT大手のテンセントが、SNSアプリ「ウィーチャット」を起点に、QRコード決済アプリ「ウィーチャットペイ」を展開、中国のQRコード決済市場を「アリペイ」とともに二分する巨大勢力となっていますが、LINEはテンセントのビジネスモデルをベンチマークしていることが知られています。テンセントの真の狙いも、金融サービスそのものではなく、それをエコシステム拡大の「エンジン」とすることなのです。