ドトールの「どこにでもある」安心感

もう一つ注目したい指標がある。「ロイヤルティ」だ。ロイヤルティは顧客に「また利用したい」と思わせているかを表す指標だが、この指標でも1位がドトール、2位がベローチェで、サンマルクは4位以内には入っていない。「また利用したい」と思わせる要素が、価格以外にないためだろう。

ドトールを「また利用したい」と思っている顧客が多いのは、価格以外では「利便性の高さ」が大きい。ドトールは、駅前のビルの1階など好ロケーションに立地していることが多い。そのため、ホッとひと息つきたいときや待ち合わせで利用するのに非常に便利だ。

また、ドトールはサンマルクの3倍近い1100店超をも全国に展開しているため、好立地との合わせ技で、カフェを探す際に「きっとここにもドトールがあるだろう」という安心感が顧客に根付いている。それゆえに「また利用したい」と思われているのだ。

ベローチェに関しては、「居心地の良さ」が大きそうだ。席のスペースを広く取っている店舗が主流となってきているほか、一部店舗ではソファを配置しており、居心地の良い空間を提供できている。ゆったりとくつろげる「快適な空間」をこだわりとし、そこを追求していくと表明している。ここを評価する顧客は少なくない。ベローチェもドトール同様に、「また利用したい」と思わせる空間を提供できているといえるだろう。

一方、サンマルクはドトールほどの利便性の高さはなく、ベローチェほどの居心地の良さもない印象がある。

チョコクロも今や差別化要因ではない

また、看板メニューの「チョコクロ」は、今となっては似たようなものがコンビニエンスストアなどでも売っており、大きな差別化ができなくなってしまった。スタバの「フラペチーノ」や、コメダの「シロノワール」ほどの独自性がないのではないか。チョコクロだけで集客を図ることは難しいように思える。また、「デニブラン」はシロノワールの二番煎じの感が否めず、これを売りとするのも難しそうだ。

つまるところ、サンマルクは「低価格」以外の売りが弱い状況だ。再成長を果たすには、新しく売りを作る必要がある。特に、居心地の良さを高めることとメニューの強化は、即効性が期待でき、早急に取り組むべきだろう。