攻めの農業に望みを託す

一方、国内で作れて、海外にも売れて、海外では作れないものは何かといえば農産物である。実際、コメ、果物など、日の丸ブランドの農産物や食料品は世界の富裕層から人気を得ている。つまり自給自足のための守りの農業ではなく、食料輸出国に向けた攻めの農業が期待されている。アメリカでもフランスでも、大国は農産物輸出国でもあるのだ。

図5:9割以上が農業地場産業の活性化に賛成
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図5:9割以上が農業地場産業の活性化に賛成

同じく地域振興でも農業にかかる期待は大きい。「地域振興のためにどうすればよいか」という設問で「農業振興」に賛成する人が9割を超える(図5)。

また「公共投資」や「住宅地の開発」は反対が半数を超え、無駄な開発に対する拒否反応が見て取れる。単なる「工場誘致」よりも「先端技術産業の誘致」に熱心なのは、単なる雇用問題だけではなく、地域の強みや若い世代のIターンを促すような付加価値の高い産業を欲しているように感じられる。

求める雇用対策は?

景気の急速な悪化で大量リストラの波が派遣社員や期間従業員など非正規労働者から正社員にも広がりつつある。

図6:定年退職後の雇用促進を切望
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図6:定年退職後の雇用促進を切望

今や雇用情勢の悪化を押しとどめるのは難しい状況だが、雇用環境を改善するためにはどのような手を打つべきか(図6)。支持が高かったのは「職業教育」(賛成91.1%)や「定年退職後の雇用促進」(賛成89.6%)だった。

日本的経営の根幹を支えてきた二大システムについては、「終身雇用制に戻す」は賛否が分かれたが、「年功序列制度に戻す」は反対が7割以上。年功序列には後戻りすべきではないが、雇用確保のためには終身雇用を見直すべきという声は今後も強まりそうだ。

【アンケートの概要とお礼】2008年10月27日~11月1日に、PRESIDENT定期読者7万人に対して郵送による質問紙調査を実施、4595人より回答を得た。ご協力くださった皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。(プレジデント編集部)
(小川 剛=構成 宇佐見利明、本田 匡=撮影)