四半世紀続く人気の秘密は「お得感」

25年前の発売間もなくトップブランドとなり、以後、一時的に2位となった時期を除き、エッセルは、ほとんどトップの座を譲らない。なぜ人気が落ちないのだろう。

(写真上)リニューアル前の「明治 エッセルスーパーカップ」、(写真下)今年3月にリニューアルした同商品。「新!」を配し、ブルーウェーブをより強調したデザインとなっている(いずれも株式会社 明治提供)

「発売以来、ブランドの軸足を変えないのも大きいと思います。たとえば内容量は『超バニラ』など定番品はずっと200ml。これだけの容量だと、乳脂肪分が多いと食べ飽きるかもしれませんが、ラクトアイスなのでコクやキレがある。時代性や消費者の嗜好の変化とも向き合い、リニューアル時に成分を微調整する時もありますが、壁板1枚を慎重に取り払うような思いで変更します」(松野氏)

発売時は、当時の「150mlで100円」のアイスの常識を破ろうと「200mlで100円」にした。濃厚で量も多い商品にするため、「乳脂肪ではなく植物性脂肪13%と卵黄脂肪でうまみを出した」。そうした基本設計を変えないことで、「安い・デカイ・ウマイ」を訴求し続けている。現在のメーカー希望小売価格は140円(税別)だが、消費者に割高感はないようだ。

当時も今もコアターゲットは中学生、高校生だ。筆者の仕事仲間の男性カメラマン(30代)は、「発売時は中学生で、野球部の部活後にみんなで食べていた」と話す。現在はスーパーなど量販店の売り上げが6~7割、残りの3~4割がコンビニだという。

 

「超バニラ」が圧倒的に売れる理由

「定番の『超バニラ』『抹茶』『チョコクッキー』の3品に、シーズンフレーバーを加えて展開してきました。中でも『クッキーバニラ』、『チョコミント』は特に人気となっています」

こう松野氏は説明するが、定番の人気も大きくは変わらない。人気ベスト3は「超バニラ」「チョコクッキー」「抹茶」の順で、大まかに言って2位の4倍、「超バニラ」が売れるという。なぜ、ここまで日本の消費者は「バニラアイス」が好きなのか。

「日本では『アイス=バニラ』のイメージが強いのと、バニラアイスは単体で味わうだけでなく、何かのアレンジを加えて食べられるからではないでしょうか」(松野氏)

「チョコミント」は、明治のお客さま相談室にも『ぜひ出してほしい』と要望が多い商品で、清涼感もあり夏向きの商品だという。また「クッキーバニラ」は、同ブランドのシーズンフレーバーで歴代最高の売り上げを記録した。以来、時期になると登場することが多い。

ちなみに松野氏のおススメの食べ方は、ウイスキーなど洋酒を少しかけること。「高級スイーツ感が増す」という。