共感を得られるよう、相手の立場に近寄る姿勢が重要

今回、わが国はそうした発想での根回しが不十分だった。賛同を得るためには、正当性の主張に併せて、各国の目線に合わせて自国の事情を説明し、より多くの理解を得なければならない。それは、自らの状況に関する共感を得られるよう、わが国自ら相手の立場に近寄る姿勢と言い換えられる。

この発想を徹底できるか否かが、わが国の将来に無視できない影響を与えるだろう。わが国経済は国内の自律的な動きによって持ち直してきたとは言いづらい。国内経済のかなりの部分は、海外経済に依存している。

海外の需要を取り込むためには、論理性と共感の両面から国際世論の支持を得ることが欠かせない。そのために経済支援などが力を発揮すると考えられるのであれば、政府はしっかりと対応すればよい。それが国際社会で戦うための基本的な発想だ。政府が今回の教訓を生かし、世界経済のダイナミズムとして期待を集めるアジア新興国などとの関係を強化し、「親日国」をさらに増やすことを期待する。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
(写真=時事通信フォト)
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